事業機能統合のプロセス

M&Aの価値を最大化する鍵は、事業統合によって「1+1」を2以上にするシナジー効果の創出にあります。
PMIの初期段階から、お客様の事業特性に合わせた最適なシナジー創出のプロセスを一貫してご支援します。

事業機能統合の進め方

M&A成立後の100日間は、PMIの成否を分ける最重要期間であり
100日プランとはPMIのための具体的な計画を指します。
シナジー最大化のロードマップを策定し、アクションプランから事業計画策定までご支援します。


① ビジネスデューデリジェンス(DD)を実施

まずはビジネスデューデリジェンス(DD)を実施し、事業の現状や課題、強みを正確に把握します。 その分析結果に基づき、事業・管理の両機能にわたるシナジーを最大化するための、具体的な戦略・戦術をご提案します。

② 戦略・戦術、シナジーの方針決定

■譲渡企業の問題点の改善、強み活用の成長戦略

ビジネスDDで明らかになった問題点を改善するための施策を策定します。 同時に、譲渡企業が持つ強みを最大限に活かし、成長を加速させるための施策も具体化します。

■譲渡企業と譲受企業の統合・シナジー(事業機能)

両社の事業活動(製造・販売等)を連携・改善することで、クロスセルや共同調達などを通じた売上・コストシナジーの実現を図ります。

■譲渡企業と譲受企業の統合・シナジー(管理機能)

ビ人事、会計、ITなどの管理部門における業務プロセスの連携や統廃合を進めます。 これにより、重複業務の削減やシステムの共通化などを通じて、具体的なコストシナジーを生み出します。

■譲渡企業の問題点の改善、強み活用の成長戦略

ビジネスDDで明らかになった問題点を改善するための施策を策定します。 同時に、譲渡企業が持つ強みを最大限に活かし、成長を加速させるための施策も具体化します。

③ 各事業・機能の方針(ビジョン)明確化

決定した全体戦略に基づき、各事業が目指すべき具体的な方針やビジョを定めます。

④ 各事業・機能の統合、体制の構築

各事業の方針を実現するため、両社の機能をどのように統合し、誰がどのような役割と責任を担うのか、最適な組織体制を設計します。

⑤ アクションプラン作成

策定した方針と新体制に基づき、「誰が」「いつまでに」「何を」実行するのか、具体的な行動計画(アクションプラン)へと落とし込みます。

⑥ 事業計画(PL)策定

まずはビジネスデューデリジェンス(DD)を実施し、事業の現状や課題、強みを正確に把握します。 その分析結果に基づき、事業・管理の両機能にわたるシナジーを最大化するための、具体的な戦略・戦術をご提案します。

100日プランで策定した計画を実行に移し、予実管理とPDCAサイクルでその進捗を管理することで、
シナジーの最大化を支援します。


⑦ 統合、戦略・戦術、シナジーの実行

100日プランで策定したアクションプランに基づき、各部門と連携しながら、統合やシナジー創出に向けた具体的な施策を現場で実行していきます。

⑧ 予実管理、PDCA

計画通りにシナジー効果が生まれているか、定期的に進捗をモニタリングします。 予実管理を通じて課題を早期に発見し、PDCAサイクルを回すことで、継続的な軌道修正と改善を図ります。

事業統合で創出するシナジー効果の全体像

事業統合によって創出されるシナジーは、大きく「売上シナジー」と「コストシナジー」に分けられます。
シナジー効果が発揮されることで、1+1が2を大きく上回る事業成長が期待できます。
お客様の事業内容やM&Aの目的に応じて、これらのシナジー効果を最大化するための具体的な施策をご提案します。

売上シナジー

両社が持つ販路や顧客基盤、ブランドといった経営資源を組み合わせ、新たな収益機会を創出します。

経営資源の相互活用

① クロスセル

自社の既存顧客に対し、M&Aで獲得した関連製品・サービスを併せて提案し、追加的な売上を獲得する活動です。

両社の顧客ニーズの類似性が高い場合や、製品・サービスが相互に補完的な関係にある場合に特に有効です。

譲受側から譲渡側の顧客へ、あるいはその逆方向で、互いの製品・サービスを追加販売します。

既存顧客に対する販売数量を増加させることで、顧客あたりの売上高を増加させる効果が得られます。

【留意点】

クロスセルは、両社にとって重要な既存顧客との信頼関係が基盤となります。闇雲な提案で顧客の信用を損なわないよう、追加販売する製品・サービスが顧客にとって本当に価値あるものか、慎重に見極めることが重要です。

また、営業担当者がM&A相手企業の製品を積極的に提案するには、その製品に関する十分な知識と理解が不可欠です。知識不足による不適切な提案を防ぎ、効果的なクロスセルを実現するため、以下のような取り組みを併せて実施することをおすすめします。

①勉強会の実施
 製品・サービスに関する商品知識や提案方法について、理解を深めるための勉強会を設定します。

②同行営業の実施
 営業担当や技術者による同行営業などを通じて、お互いの製品・サービスへの実践的な理解を深めます。

③評価制度の工夫
 クロスセルに対するインセンティブを導入するなど、営業担当者のモチベーションを高めるための目標設定や業績評価の工夫を行います。

② 販売チャネルの拡大

主に同業種による水平統合で両社の既存顧客が重複しない場合に、それぞれの販売チャネルや営業エリアを活用して相互に製品・サービスを販売し、新たなチャネルの開拓、新規顧客の獲得、営業エリア拡大を実現する活動です。

両社の顧客層が異なる場合や、営業エリアが地理的に重複しない場合に有効です 。

相互に顧客を紹介して単独で営業する場合と、同行営業を実施する場合があります 。

譲受側・譲渡側が同業種の場合】

  • 両社の販売チャネルを相互に活用することで、新規顧客の開拓や、営業エリアの拡大を実現できます。これまでアプローチできていなかった顧客層へも、少ない営業リソースで効率的にリーチすることが可能になります。

【譲受側・譲渡側が異業種の場合】

  • これまで接点のなかった新たな市場へアクセスできる販売チャネルを獲得できます。
  • これまでとは異なる顧客ニーズに触れることで、自社製品の改良や、新たなサービス開発のきっかけにも繋がります。

【留意点】

■営業担当間の情報連携の徹底
相互に顧客を紹介し合う際は、これまでの関係性や提案内容といった情報を担当者同士で共有し、お客様に不信感を与えないよう連携を徹底します。

■顧客からの事前承諾の取得
顧客情報を両社で共有したり、相手側の企業から直接アプローチしたりする際には、必ず顧客から事前の承諾を得ることが重要です。 特に、一般消費者の個人データを扱う場合は、個人情報保護法に抵触することがないよう万全を期します。

経営資源の組合せ

③ 製品・サービスの高付加価値化

両社の製品・サービスが相互に補完的な関係にある場合に特に有効です。両者を組み合わせることで、お客様にとっての利便性や付加価値を大きく高めることができます。

相手企業の技術で既存製品に機能を追加したり(製品価値の向上)、製品とアフターサービスを組み合わせたり(提案価値の向上)といった、様々な形が考えられます。

製品・サービスを組み合わせることで付加価値が高まり、受注の拡大や売上増加が期待できます。

【留意点】

まず両社の製品・サービスに関する十分な知識と理解が不可欠です。さらに、既存の製品・サービスだけでは満たされていない顧客のニーズがどこにあるのかを、正確に把握しておく必要があります。 両社の製品をどう組み合わせれば顧客の課題を解決できるのか、その価値を伝えるための具体的な営業手法も併せて検討することが重要です。

④ 新製品・サービスの開発

両社の経営資源や組織能力を活用して新製品・サービスを企画・開発し、既存顧客の新たなニーズ掘り起こしや、新規顧客の開拓といった成果を目指す活動です。

既存顧客の中に、自社の既存サービスだけでは満たせない「潜在的なニーズ」があると見込まれる場合に特に有効です。

  • そもそも、その新製品・サービスを求める顧客のニーズが明確に存在していること
  • そのニーズが、一定以上の市場規模(需要)が見込めること。
  • 両社の経営資源や技術力を組み合わせることで、そのニーズに応える製品・サービスを実際に開発できる可能性があること。

既存顧客の新たな需要を開拓することで取引の拡大につながります。さらに、従来の製品・サービスとは異なる収益構造を確立し、新たな売上の獲得が期待できます。

【留意点】

まず両社の製品・サービスに関する十分な知識と理解が不可欠です。さらに、既存の製品・サービスだけでは満たされていない顧客のニーズがどこにあるのかを、正確に把握しておく必要があります。 両社の製品をどう組み合わせれば顧客の課題を解決できるのか、その価値を伝えるための具体的な営業手法も併せて検討することが重要です。

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