事業機能統合のプロセス

【販管費】改善

⑩広告宣伝・販促活動の見直し

譲渡側が実施している広告宣伝・販促活動を一つひとつ見直し、その目的と費用対効果を検証することで、全体の費用を適切な水準へと最適化する活動です。

広告宣伝・販促活動の見直しは、特に以下のような課題を抱えている場合に高い効果が期待できます。

● 売上高に占める広告宣伝費の比率が、同業他社と比べて明らかに高い場合。
● 毎年の予算が固定化され、売上高の増減と連動した柔軟な見直しが行われていない場合。

まず、企業のブランディングを目的とする「広告宣伝」と、直接的な販売増を目指す「販売促進」に活動を分類して、個々の活動について目的、想定効果、発注先、コストなどの情報をすべて可視化します。 可視化された情報に基づき、一つひとつの活動の費用対効果を厳密に検証し、「継続」「廃止」「見直し」の判断を下します。

目的と効果の観点から活動を見直すことで予算総額を抑制し、コスト削減を実現します。

【留意点】

■管理状況のチェックポイント

多くの中小企業では、広告宣伝・販促活動が適切に管理されていないケースが見られます。 まずは、以下の観点から譲渡側の管理状況を確認することが重要です。
●各活動の実施を判断する基準や、発注の権限は明確になっているか。
●特定の業者に発注が固定化されず、相見積もりなどが適切に行われているか。
●見積もりが「一式」表示などで、活動内容が不透明になっていないか。
●活動の実施後に、効果測定などの振り返りが実施されているか。
仕入単価の削減効果は、販売量や生産量が増えるほど大きくなります。

■規律を保つ仕組みづくり

広告宣伝・販促費は、経営者の目が届きにくく、放置すると増加しがちなコストです。 そのため、発注権限の明確化や発注書の導入、相見積もりの必須化といったルールを定め、継続的に規律を保つ仕組みを構築することが不可欠です。

⑪間接業務の見直し

譲渡側の間接業務の内容を見直し、業務品質の向上やミスの削減といった「質的改善」と、業務効率化や時間短縮といった「量的改善」の両方を実現する活動です。

間接業務の見直しは、特に社内に以下のような非効率が発生している場合に高い効果を発揮します。

● 複数の部門や担当者が、同じような作業を重複して行っている。
● 作成の目的が曖昧になっているような報告資料が慣習的に作られ続けている。
● 各部門から提出される報告資料のフォーマットがバラバラで、集計や分析に多大な手間がかかっている。

間接業務の改善は、以下の2つのステップで進めることが基本となります。

①業務の可視化(棚卸し)
まず前提として、現在どのような間接業務が行われているかを可視化する必要があります 。 担当者へのヒアリングなどを通じて業務の棚卸を行い、業務ごとの担当者、発生頻度、所要時間などを正確に把握します 。口を一本化し、交渉力を集中させます。

②改善方針の検討(ECRS)
業務を可視化する中で、特に無駄や非効率が発生している業務を特定します 。 その上で、ECRS(下図)と呼ばれる「排除」「統合」「入替・代替」「簡素化」の4つの観点から改善の方向性を検討し、業務の効率化を図ります 。

直接的な業務改善効果と、PMIプロセスを円滑に進める効果の2つが期待できます。

●業務の効率化と品質向上 間接業務における無駄や非効率を解消することで、従業員の残業時間短縮や、業務品質そのものの向上といった直接的な効果が期待できます。
●PMIプロセス円滑化への貢献 PMIの期間中は、譲渡側従業員に報告業務の増加など、通常業務に加えて大きな負荷がかかります。 間接業務の見直しによって普段の業務負担を軽減することは、この追加負荷を吸収し、PMIを円滑に進める上で大きな助けとなります。 また、従業員が日頃から課題だと感じている業務を早期に改善することは、PMIへの協力や信頼を得る上で非常に重要です。

【留意点】

■業務見直しの基本ステップ
多くの中小企業では業務が属人化しており、誰が・何を・どのように行っているかの実態把握が困難です。そのため、業務の見直しは一般的に以下の4つの手順で進めます。

① 業務の実態把握
業務の棚卸や担当者への調査を通じて、業務の実態を可視化します。

② 改善対象業務の特定
可視化された情報の中から、特に非効率な業務や、改善効果の大きい業務を特定します。

③ 改善案の作成
特定した業務について、具体的な改善案を作成します。

④ 改善案の実施・検証
改善案を実行し、その効果を検証(PDCA)します。

■ITシステム活用のポイント
標準化が可能な定型業務については、ITシステムを活用することで、さらなる業務効率の改善が期待できます。 ただし、その際は自社の業務をシステムに合わせる形で標準化・見直しを行うことが、導入を成功させるための重要なポイントです。

⑪間接業務の見直し

譲渡側の間接業務の内容を見直し、業務品質の向上やミスの削減といった「質的改善」と、業務効率化や時間短縮といった「量的改善」の両方を実現する活動です。

間接業務の見直しは、特に社内に以下のような非効率が発生している場合に高い効果を発揮します。

● 複数の部門や担当者が、同じような作業を重複して行っている。
● 作成の目的が曖昧になっているような報告資料が慣習的に作られ続けている。
● 各部門から提出される報告資料のフォーマットがバラバラで、集計や分析に多大な手間がかかっている。

間接業務の改善は、以下の2つのステップで進めることが基本となります。

①業務の可視化(棚卸し)
まず前提として、現在どのような間接業務が行われているかを可視化する必要があります 。 担当者へのヒアリングなどを通じて業務の棚卸を行い、業務ごとの担当者、発生頻度、所要時間などを正確に把握します 。口を一本化し、交渉力を集中させます。

②改善方針の検討(ECRS)
業務を可視化する中で、特に無駄や非効率が発生している業務を特定します 。 その上で、ECRS(下図)と呼ばれる「排除」「統合」「入替・代替」「簡素化」の4つの観点から改善の方向性を検討し、業務の効率化を図ります 。

直接的な業務改善効果と、PMIプロセスを円滑に進める効果の2つが期待できます。

●業務の効率化と品質向上 間接業務における無駄や非効率を解消することで、従業員の残業時間短縮や、業務品質そのものの向上といった直接的な効果が期待できます。
●PMIプロセス円滑化への貢献 PMIの期間中は、譲渡側従業員に報告業務の増加など、通常業務に加えて大きな負荷がかかります。 間接業務の見直しによって普段の業務負担を軽減することは、この追加負荷を吸収し、PMIを円滑に進める上で大きな助けとなります。 また、従業員が日頃から課題だと感じている業務を早期に改善することは、PMIへの協力や信頼を得る上で非常に重要です。

【留意点】

■業務見直しの基本ステップ
多くの中小企業では業務が属人化しており、誰が・何を・どのように行っているかの実態把握が困難です。そのため、業務の見直しは一般的に以下の4つの手順で進めます。

① 業務の実態把握
業務の棚卸や担当者への調査を通じて、業務の実態を可視化します。

② 改善対象業務の特定
可視化された情報の中から、特に非効率な業務や、改善効果の大きい業務を特定します。

③ 改善案の作成
特定した業務について、具体的な改善案を作成します。

④ 改善案の実施・検証
改善案を実行し、その効果を検証(PDCA)します。

■ITシステム活用のポイント
標準化が可能な定型業務については、ITシステムを活用することで、さらなる業務効率の改善が期待できます。 ただし、その際は自社の業務をシステムに合わせる形で標準化・見直しを行うことが、導入を成功させるための重要なポイントです。

【販管費】共通化・統廃合

⑫共同配送

両社が同一・近接エリアに配送している荷物を集約し、物流事業者を共通化することで、荷物1個あたりの物流費削減を実現する活動です。

主に水平統合において、両社の配送先エリアが重複していたり、地理的に近接していたりする場合に、特に高い効果が期待できます。

配送量の増加を交渉材料として、物流事業者との契約見直しを図ります。特に、料金がタリフ(従量制)契約の場合は、荷物を集約することで運賃の引き下げ交渉がしやすくなります。

物流費は、荷物量に連動する変動費です。そのため、共同配送によって荷物量が増加すれば、その分だけ利益への改善効果が大きくなります。 特に、売上高に占める物流費の比率が高い製造業や小売業では、この改善効果はより大きくなる傾向があります。

【留意点】

物流事業者との交渉を有利に進めるためには、譲渡側の配送先や時間制約といった詳細な情報を、事前に正確に把握しておくことが不可欠です。

⑬管理機能の集約

譲渡側の管理機能(経理、人事など)を譲受側に集約し、グループ全体の生産性向上を図る活動です。譲渡側に不足している管理機能を譲受側が補完することで、譲渡側の事業運営を安定させるという支援的な側面も持ち合わせています。

この取り組みは、両社で重複している定型業務を集約する場合や、人員不足などが原因で譲渡側が単独では遂行困難な業務を譲受側が引き継ぐ、といったケースで特に有効です。

管理機能の集約を成功させるには、事前の調査と慎重な判断が不可欠です。

①譲渡側業務の現状把握
まず、譲渡側の業務について、目的や内容、プロセス、使用ツールといった基本的な情報を正確に把握することが前提です。

②影響範囲の慎重な検討
その上で、業務を譲受側に集約した場合の双方への影響(業務負荷の変動など)を十分に考慮し、実施可否を判断する必要があります。

管理機能を集約することで、グループ全体で以下のような効果が期待できます。

●業務負荷の軽減と平準化
●譲受側の高い業務水準に合わせることによる、業務品質の向上
●譲渡側が外部委託していた業務を内製化することによる、コスト削減

【留意点】

■従業員への配慮と合意形成
管理機能の集約が、従業員の勤務地変更など不利な労働条件に繋がる場合があります。トラブルを避けるため、対象者への事前の丁寧な説明と合意形成が極めて重要です。

■さらなる効率化の検討
業務の集約を機に、ITツール活用による定型業務の自動化や、一部業務のアウトソーシング(外部委託)を検討することも有効な手段です。

⑭販売拠点の統廃合

同一エリア内における営業体制の重複といった非効率を解消し、営業活動の効率化と、家賃などの拠点関連費用の削減を実現する活動です。

同一・近接エリアに両社の営業・販売拠点が混在し、営業活動に重複が生じていたり、拠点間で営業事務などの人員が不足していたり、業務負荷に大きな偏りが生じていたりする場合に有効です。

対応方法としては、主に左図で示される2つのパターンがあります。 1つは、いずれかの既存拠点に機能を集約する方法。もう1つは、両社の既存拠点を廃止し、新たな販売拠点に集約する方法です。

販売拠点の統廃合により、主に以下の3つの効果が期待できます。

●廃止した拠点の賃料や光熱費、メンテナンス費といった固定費を削減できます。
●営業事務などの間接人員を集約することで、業務負荷の平準化や残業時間の削減に繋がります。
●拠点廃止によって生まれた余剰人員を、リソースが不足している他の拠点や部門へ再配置し、営業効率の改善を図ります。

【留意点】

物流事業者との交渉を有利に進めるためには、譲渡側の配送先や時間制約といった詳細な情報を、事前に正確に把握しておくことが不可欠です。

⑭販売拠点の統廃合

両社が同一・近接エリアに配送している荷物を集約し、物流事業者を共通化することで、荷物1個あたりの物流費削減を実現する活動です。

主に水平統合において、両社の配送先エリアが重複していたり、地理的に近接していたりする場合に、特に高い効果が期待できます。

配送量の増加を交渉材料として、物流事業者との契約見直しを図ります。特に、料金がタリフ(従量制)契約の場合は、荷物を集約することで運賃の引き下げ交渉がしやすくなります。

物流費は、荷物量に連動する変動費です。そのため、共同配送によって荷物量が増加すれば、その分だけ利益への改善効果が大きくなります。 特に、売上高に占める物流費の比率が高い製造業や小売業では、この改善効果はより大きくなる傾向があります。

【留意点】

■契約内容の事前確認
拠点が賃貸物件の場合、解約のタイミングによっては違約金が発生する可能性があります 。トラブルを避けるため、賃貸借契約の内容を事前(ビジネスDDの段階)に確認しておくことが重要です 。

■関係者への周知徹底
販売拠点の移転・統廃合が決定したら、顧客をはじめとする関係者への丁寧な周知と、ウェブサイトなど公開情報の更新を漏れなく実施する必要があります。

■従業員への配慮と合意形成
拠点統廃合は、従業員の勤務地の変更など、労働条件が不利になる可能性を伴います 。対象となる従業員への事前の丁寧な説明と、理解を得るための対話、そして最終的な合意形成が極めて重要となります。

■営業体制の再設計
拠点を集約した結果、営業担当者の移動距離が長くなり、訪問件数の減少や経費の増加といった新たな非効率が生まれることがあります。 統合後の顧客分布や移動距離を考慮し、必要に応じて営業担当エリアの割り振りを見直すといった、営業体制の再設計も併せて検討すべきです。

書籍を多数出版し、これまでに300名以上の参加者を誇る「経営コンサルタント養成塾」を開催してきた
経営コンサルタントと、PMI専門の弁護士や会計士がチームで担当いたします。
各プロセスについては以下のページをご覧ください。

>PMIの体制構築全体のプロセスについてはこちら

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