M&A・PMI用語集
0~9
100日プラン
M&A(合併・買収)後の統合作業(PMI:Post Merger Integration)において、買収完了後の最初の100日間に優先的に取り組むべき事項を計画・実行するアクションプランのこと。
M&A直後の不安定な時期に、統合プロセスを円滑に進めるために、短期的な成果(クイックウィン)を出しつつ、長期的な統合の土台を築くことを目的としている。
1枚モノ
M&Aを希望する売手会社の概要をまとめた資料で「ノンネームシート」と同義語。これを見ても会社名を特定できないように加工されてる。
A4用紙1枚にまとまっていることが多いため「1枚モノ」と呼ばれる。
3C分析
マーケティングや経営戦略で用いられるフレームワークのひとつで、以下の3つの「C」を分析することで、市場での勝ち筋を探る方法。
①Customer(市場・顧客):誰に価値を届けるのか?(目的:ニーズや行動の理解)
②Competitor(競合):誰と争うのか?(目的:差別化・強みの明確化)
③Company(自社):自社の強みは何か?(目的:経営資源・優位性の確認)
4P
「マーケティング・ミックス」とも言われる、企業が商品・サービスを市場で効果的に売るために設計するべき「マーケティングの4つの要素」のこと。
「売る側の視点」で考えるフレームワーク。
①製品戦略(Prodoct)
どんな商品・サービスを提供するか(品質・機能・デザインなど)
②価格戦略(Price)
いくらで売るか(価格設定、割引、支払条件など)
③流通戦略(Place)
どこで売るか(販売チャネル、店舗、物流など)
④プロモーション戦略(Promotion)
どうやって知らせるか(広告、PR、SNS、イベントなど)
5%ルール
上場会社の株式等 (新株予約権付社債などの潜在株式を含む) の5%を超えて取得した場合、その日より5営業日以内に大量保有報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない制度。
さらに、5%以上取得した大量保有者がその後1%以上の増減を伴う売買をした場合、または大量保有者の重要事項に変更があった場合には「変更報告書」の提出が義務付けられている。
なお保有割合は、ある取得者と共同して株式等を売買することを同意している者も含めて判定することとされており、これを「共同保有者」という。
A~Z
ABL
「Asset Based Lending」。
動産や債権を担保として行われる融資。
売掛債権、在庫・設備、手形、預金、有価証券、保険金など。
BPS
BPS(Book-value Per Share:1株当り純資産)は、純資産を発行済み株式数で割った値であり、1株当りの純資産を示す指標。
全業種の中央値は1200円程度のイメージ。
【BPSの算出式】
BPS(円/株)=純資産÷発行済み株式数
CAPM
Capital Asset Pricing Model(資本資産評価モデル)の略で、株式や資産の期待収益率をリスク(β値)に基づいて理論的に算出するモデル。
CAPMは投資家がどれだけのリスクを取ったら、どれだけのリターンを期待できるかを数式で示すモデルであり、企業価値評価や、割引率(WACC)を求める際にもよく使われる。
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)
企業が、仕入れに支払った現金を、製品を売って回収するまでにかかる月数を示す。
簡単に言えば:「お金を使ってから、またお金として戻ってくるまでに何日かかっているか?」ということ。
【CCCの算出式】
CCC(ヶ月)=売上高債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間
D/Eレシオ
デット・エクイティ・レシオと読み、企業健全性をはかるために用いられる指標のひとつ。
企業の資金源泉のうち、負債が資本の何倍に当たるかを示す指標で、この数値が低いほど財務内容が健全とされる。
負債(Debt)を株主資本(Equity)で賄うことを望ましいとする考えに基づき、長期の支払い能力を表すときに使われ、特に社債の格付けで重視される。
一般に、以下で表される。
【D/Eレシオ算出式】
D/Eレシオ(倍)=有利子負債(短期・長期借入金、普通社債、転換社債)÷株主資本
Day.1
M&A成立後初日起点にした1日目。
100日目はDay.100となる。
DCF法
会社の収益またはキャッシュフローに着目する企業評価の手法。
【DCF法による評価の手順】
①事業計画を作成
②割引率を決定
③余剰資産を「+」し、有利子負債を「-」して株式価値を算定
DDS
「ディー・ディー・エス」「デット・デット・スワップ」と呼ばれる。
金融機関が既存の貸出債権を他の一般債権よりも返済順位の低い劣後ローンに切り替えること。
「資本性借入金」「資本的借入金」ともいう。
実質純資産額の改善とはならないが、元本返済が一定期間猶予されるため、キャッシュフローを改善することができる。
DES
「デット・エクイティ・スワップ」「デス」と読み、Debt(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)することを言い、「債務の株式化」のこと。
通常、経営不振や過剰債務などに苦しむ企業の再建支援策の一つとして用いられており、債権を保有する金融機関等が融資(貸出金)の一部を現物出資する形で株式を取得するケースが多い。
EBITDA
イービッダー、イービットディーエーなどと呼ばれる。
利払前、税引前、償却前利益のことをいう。
当期利益と異なり、税金や金利を支払前の本業が稼ぐ収益力を示すとともに、会社によって異なりうる償却方法の差を排除できるため、実態の収益を示す指標としてよく用いられる。
また、簡易的なキャッシュフローを示す指標としても用いられる。
EBITDA
税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、日本の会計基準で考えれば「償却前営業利益」とほぼ同じになる。「イービッダー」、「イービットディーエー」などと読む。
また「EV/EBITDA倍率」「EV/EBITDA倍率」とは、EBITDA(1年間の現金収入)に対してEV(企業価値)が何倍あるかを意味し、買収する場合に何年で元が取れるかを表す指標である。
EDINET
Electronic Disclosure for Investors’ NETwork(投資家のための電子開示システム)の略で、日本の金融庁が運営する有価証券報告書などの企業情報を閲覧・検索できる公式ウェブサイト。
EDINETで閲覧できる主な資料は以下のとおり。
・有価証券報告書:上場企業の財務・事業・リスク情報など
・四半期報告書 3カ月ごとの業績報告(現在は任意提出)
・臨時報告書:大きな事件や役員交代などの重要事項
・発行登録書:新株発行・社債発行などの情報
・内部統制報告書:財務報告に関する内部統制の整備状況
・提出者情報:企業やファンドなどの提出者一覧や概要
EPS
EPS(Earnings Per Share:一株あたり利益)とは、その会社が一年間に上げることができた利益(当期純利益)を発行している発行済株式総数で割ったもので、会社のオーナーである株主の持つ株券1株あたりの利益の金額を示す指標。
特に目安となる数値はない。
【EPSの算出式】
EPS(円/株)=当期純利益÷発行済み株式数
EV
事業価値の英語表現であるEnterprise Valueの略称。
EVA
conomic Value Addedの略称で、アメリカのコンサルティング会社スターン・スチュワート社が開発した企業評価のための指標であり、経済的付加価値と訳される。
税引後営業利益(NOPAT)から株主に対する株主資本コストを含んだ資本コストを差し引いた余剰利益を表す。
【EVA算出式】
EVA(円) = NOPAT - 投下資本 × WACC
NOPAT:税引後営業利益
投下資本:有利子負債+株主資本
WACC:加重資本コスト
この指標がプラスとなる場合は、株主の期待する以上の価値を創造したことを意味する。
マイナスとなった場合は、期待通りの利益が獲得されず、株主価値を破壊していることを意味する。
FA
FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)は、企業にこれらの過程を総合的に助言し、進行する業務。
M&Aには、企業の選定、スキーム策定、クロージングなど、様々なプロセスがあるが、これら全般を担当する。
FLR比率
FLRコスト(FOOD(食材費≒原価)とLABOR(人件費)とRent(家賃)の合計のコスト)の売上高に対する比率を示す指標。
【FLR比率の算出式】
FLR比率=FLRコスト÷売上高
FL比率
FLコスト(FOOD(食材費≒原価)とLABOR(人件費)の合計のコスト)の売上高に対する比率を示す指標。
【FL比率の算出式】
FL比率=FLコスト÷売上高
GAAP
「ジーエーエーピー」「ギャープ」と読み、一般に公正妥当と認められる会計原則をいう。
取引を会計処理する場合に準拠すべき原則、及び連結財務諸表、財務諸表を作成する場合の作成基準となる原則で、会計の「共通ルールブック」のようなもの。
IFRS
「アイエフアールエス」「イファース」と読み、「International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準」の略で、世界中の企業が使える、共通の会計ルール(国際会計基準)のこと。
約150か国、3万社以上が採用中。
In-in
日本の企業同士のM&A
In-out
日本企業が海外企業を買収するM&A
IRR
投資により得られる純現金収益の現在価値と投資に必要な現金支出の現在価値が等しくなるような割引率で、「内部収益率」ともいう。
この値は NPV がゼロとなる割引率で、IRR が投資コスト(借入金利等)よりも大きければ投資対象として有利と判定される。
KPI
重要業績評価指標(Key Performance Indicator)を指す。会社の目標を達成するための重要な活動や成果を定量的に評価するための指標を意味する。
売上高や営業利益といった財務指標ばかりではなく、日々の活動における取組に関する指標を設定することで、目標達成に向けた活動がどの程度実行されているかを測定することも可能になる。
例えば、製造部門における稼働率や不良率等、営業部門における顧客訪問件数や新規引合件数等が挙げられる。
LBO
LBOは「Leveraged Buyout」の略で、M&A(企業買収・合併)の一つの手法であり、買収先企業の資産または将来のキャッシュフローを担保に、金融機関等から資金調達をして行う企業買収のことをいう。
自己資金が少なくても大きな資本の企業を買収でき、「テコの原理」が働くことになるが、買収の実施後は、調達した資金が買収された企業の負債となる。
<LBOの主な特徴>
・買収先企業の事業収益やビジネスモデルを担保に資金を借り入れる
・資本構成の変更と所有権の変更が同時に起こる
・取引の過程に様々な関係者(スポンサー、金融機関、弁護士など)が関与する
M&A
M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲渡し・譲受け)をいう。
M&Aブティック
M&Aアドバイザリーを専門的に手がけるプロフェッショナルファーム。
顧客のM&Aをセルサイドやバイサイドからアドバイスし、企業買収や再編・統合を支援する。
また、日本では仲介という形で交渉の仲立ちをする場合もある。
ミドルマーケットと呼ばれる中小型案件を手掛けることが多く、少人数で構成されている会社が多い。
M&A銘柄
M&Aの対象となる可能性が高いと思われる企業の株式のこと。
MBO
MBOは、「Management Buyout(マネジメント・バイ・アウト)」の略で、企業のM&A(合併・買収)の手法の一つで、経営陣が参加する企業買収のことをいう。
これは、経営陣が所属している企業や事業部門を買収して独立する手法であり、買収する企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に投資ファンド等からの出資や金融機関からの借入などの金融支援を受けることによって実施される。
また、経営陣と従業員が一体となって株式を譲り受ける場合を「MEBO(Management Employee Buyout)」と言いう。
【主なMBOのメリット】
・事業を整理したい親企業にとって、その売却資金で本業の建て直しを図ることができる
・上場を廃止することで、市場で買収を仕掛けられるリスクがなくなる(企業防衛策)
・上場を廃止することで、短期的な市場の声に惑わされることなく、中長期的な経営戦略が保てる(経営の自由度が高まる)
・後継者難の企業の創業者が、本手法を通じて、会社幹部等に事業を譲渡することができる
・競合他社に企業戦略等をあまり知られることなく、機動的な経営が可能となり、競争上優位になる
NPV
「正味現在価値」のこと。
将来得られるキャッシュフロー(利益など)を現在の価値に割り引いて合計し、初期投資額を差し引いたもので、「この投資は、現在価値ベースでいくら得するのか?」を判断するための指標。
Out-in
海外企業が日本企業を買収するM&A
PBR
PBR(Price Book-balue Ratio:株価純資産倍率)は、株価が1株当りの純資産の何倍で取引されているかを示す指標。
PBRが1倍割れであれば、株価は割安と判断される。
【PBRの算出式】
PBR(倍)=株価÷BPS
PER
PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)は、株価がEPS(1株当り純利益)の何倍の価値かを表す。
15倍前後が目安と言われている。
【PERの算出式】
PER(倍)=EPS÷株価
PMI
「Post Merger Integration」の頭文字を取ったもの。
「Post」は「後」、「Merger」は「合併」、「Integraton」は「統合」を意味するので、直訳すると「合併後の統合プロセス」になり、要するにPMIはM&A後の統合プロセスを指す。
中小企業庁が発行した「中小PMIガイドライン」では、「PMIとは、主にM&A成立後に行われる統合作業であり、M&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化するために必要なものである。」と示されている。
譲受側のM&Aの目的は事業の拡大や事業価値の向上であり、その効果が実現できるかどうかが重要であるため、M&Aは本来成立してからがスタートであり、PMIの取組みが最も重要なプロセスであるといえる。
ROA
総資産利益率(Return on Assets)。
企業が持っているすべての資産を使って、どれだけ利益を上げたかを示す指標。
業種などにもよるが、5%以上が目安。
【ROAの算出式】
ROA(%)=当期純利益÷総資産×100
ROE
自己資本利益率(Return on Equity)。
企業が株主から預かった資本(自己資本)を使って、どれだけ利益を上げたかを示す指標。
業種などにもよるが、8~10%が目安。
【ROEの算出式】
ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
SOX法
正式名称を「Sarbanes-Oxley Act(サーベンス=オクスリー法)」といい、2002年にアメリカで制定された、上場企業向けの企業統治・財務報告の厳格化を目的とした法律のこと。
大規模な会計不正(エンロン、ワールドコムなど)をきっかけに、投資家保護と企業の透明性向上のために制定された。
SPA
「Specialty store retailer of Private label Apparel(自社ブランド専門店型小売業)」のことで、企画・製造・小売までを一貫して自社で行うビジネスモデル。
特にアパレル業界で使われますが、他業種にも広がっている。
SPC
SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)。
SPV(特別目的事業体:Special Purpose Vehicle)のうち、法人格を有するもの。
SPE
SPE (Special Purpose Entity)は、証券化(広義)やプロジェクト・ファイナンスにおいて、信託や特定目的会社等のように自らの資金の投資などの目的を有することなく、単に投資家からの資金調達や資産の小口化のための、道具立てあるいは器の総称である。
「SPV(Special Purpose Vehicle)」 とも呼ばれる。
また、SPEのうち、法人格を有するものは「SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)」と呼ばれる。
SPV
SPV(特別目的事業体:Special Purpose Vehicle)は、証券化(広義)やプロジェクト・ファイナンスにおいて、信託や特定目的会社等のように自らの資金の投資などの目的を有することなく、単に投資家からの資金調達や資産の小口化のための、道具立てあるいは器の総称である。
「SPE (Special Purpose Entity)」 とも呼ばれる。
また、SPVのうち、法人格を有するものは「SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)」と呼ばれる。
STP分析
マーケティング戦略を立てる際の基本フレームワークで、以下の3つのステップで「誰に・何を・どう届けるか」を明確にする。
①Segmentation(セグメンテーション)
市場を特性ごとに細かく分ける(例:年齢、性別、地域、価値観など)
②Targeting(ターゲティング)
狙うべき顧客層を選ぶ(例:都市部の30代女性)
③Positioning(ポジショニング)
顧客の頭の中でどう位置づけられたいかを決める(例:おしゃれで健康的なスムージー)
WACC
加重平均資本コストのこと。
株主資本コストと借入資本コストを資本構成によって加重平均した会社全体の資金調達コストを意味する。
DCF方式で企業評価をする際に利用される割引率のひとつ。
あ行
アクションプラン
目標を達成するために「いつ・誰が・何を・どのように行うか」を具体的に整理した実行計画のこと。
戦略や方針を「実際の行動」に落とし込むためのステップ。
粗付加価値額人件費比率(労働分配率)
企業が創出した粗付加価値のうち、どれだけを人件費として従業員に分配しているかを示す指標。
【粗付加価値額人件費比率の算出式】
粗付加価値額人件費比率(%)=人件費÷粗付加価値額
アンゾフの成長マトリクス
企業が成長戦略を考える際に使われる市場×製品の組み合わせで分析するフレームワーク。
マーケティングや経営戦略の基本理論の1つで、4つの選択肢を提示する。
①市場浸透戦略
既存製品を既存市場にもっと売る(シェア拡大、リピート促進)
②市場開拓戦略
既存製品を新しい市場へ(新地域、新ターゲット層)
③製品開発戦略
新製品を既存市場へ(新機能、商品バリエーション)
④多角化戦略
新製品を新市場へ(全く新しいビジネス領域への進出)
一次情報
一次情報とは「その目的のため専用に、新しく調べられた情報」。それに対して二次情報は「別の目的のためにすでに収集されていて、どこかに保管されている情報」のこと。
一次情報の特徴は、二次情報に比べて圧倒的に価値があると言える。なぜなら目的のために、どこにも存在しない専用の情報を改めて調べるため。
しかし、二次情報を手に入れるのに比べてすごく、コストがかかる。
調査機関に依頼した場合はそれ相応の金額になり、自分たちで調べた場合はそれ相応の手間になり、調査のための時間が生じてしまう。
インカムアプローチ
対象企業の利益やキャッシュフローといった収益性に着目した評価手法。
最も論理的であるが、見積もりの要素が多い為、恣意性が介入する、数字遊びになる可能性があるといった問題がある。
インカムゲイン
資産運用に際して、ある資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入のことを指す。
例えば、株式の配当金、銀行預金や利付債券の受取利息、投資信託の収益分配金、不動産投資の場合は家賃収入である。
これに対してキャピタルゲイン(capital gain)は、保有していた資産の値段が変動することによって得られる収益のことを指す。
内入れ
分割弁済(=約定弁済)とは別に、任意である程度のまとまった額を繰り上げて弁済すること。
売上債権回転期間
売上が「現金化されるまでに平均して何ヶ月かかっているか」を示す指標。
売掛金や受取手形の回収スピードの目安であり、資金繰りの健全性を測る重要な指標。
【売上債権回転期間の算出式】
売上債権回転期間(ヶ月)=売上債権÷月商
売上債権担保融資
売上債権を譲渡担保にして行われる融資で、ABLの1つ。
ポイントは、売掛債権が分散していること。
売上高営業利益率
売上高に対してどれだけ営業利益が出ているかを示す指標。
企業の本業の収益性を測るときによく使われる。
【売上高営業利益率の算出式】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高借入金比率
企業の年間売上に対して、借入金がどれくらいの割合を占めているかを示す財務指標。
「この会社は、売上の何倍も借金しているか?」を測ることで、借入依存度や財務の安全性がわかる。
【売上高借入金比率の算出式】
売上高借入金比率(%)=借入金÷売上高
売上高金融費用比率
売上高に対する支払利息の割合。
高すぎる場合業務に指標をきたすため、銀行に利率提言を求める必要あり。
【売上高金融費用比率の算出式】
売上高金融費用比率(%)=支払利息÷売上高×100
売上高経常利益率
売上高に対して経常利益(営業利益+営業外収益−営業外費用)がどれだけあるかを示す指標。
本業だけでなく、利息収入や為替差益なども含めた「企業全体の通常活動の収益性」を見るもの。
【売上高経常利益率の算出式】
売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100
売上高諸経費比率
売上高に対して販売費・一般管理費(販管費)のうち、人件費以外の「諸経費」が占める割合を示す指標。
【売上高諸経費比率の算出式】
売上高諸経費比率(%)=諸経費÷売上高×100
売上高人件費比率
売上高に対して人件費(給与・賞与・労務費・法定福利費など)が占める割合を示す指標。
【売上高人件費比率の算出式】
売上高人件費比率(%)=人件費÷売上高×100
売上高総利益率
企業が売上に対してどれだけ「粗利益(=売上総利益)」を得ているかを示す指標。
【売上高総利益率の算出式】
売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100
運転資金
事業を日々回していくために必要な資金のこと。
企業が商品を仕入れたり、従業員に給料を支払ったり、光熱費を払ったりするための“日常的な出費”をまかなうお金を指す。
営業権
暖簾(のれん)のこと。
税法および会計学上,長年の営業活動より生じた無形の経済的利益で、例えば、企業が有するノウハウ、立地等、他に代替できない無形の価値のこと。
また、買収価格が売却企業の純資産額を上回る場合の差額をいう。
会社法が施行されるまでは「営業権」と呼んでいたが、現在は「のれん代」という。
営業譲渡
会社の営業の全部または一部を他の会社に譲渡する契約。
営業とは、一定の営業目的のために組織され、有機的一体として機能する財産・債務のほか、経営組織、ノウハウ、取引先との関係などを含む包括的な概念。個別の売買として含み益に対する課税、不動産取得税、登録免許税が一般税率でかかる。
エクイティーファイナンス
株式を発行することで資金調達を行うこと。
会社が資金を調達する場合には大きく2つの方法があり、エクイティ・ファイナンスの他、金融機関や投資家からお金を借り入れるデット・ファイナンスがある。
エグジット
ベンチャーキャピタル等の投資ファンドにおける投資資金回収手段または戦略のこと。
株式公開(IPO)や投資先企業による買戻し、M&Aによる他の株主への売却等の手段がある。
エグゼキューション
M&Aにおける一連の事務手続き等の実行、管理をすること。
具体的には以下の業務を指す。
・どのようなスキームで買収するかなどといったストラクチャーの構築
・契約書や開示関連のサポートをする文書業務
・価値を検討するバリュエーション業務
・法務・会計・税務の詳細調査を行うデューデリジェンス業務
膨大なボリュームのデータを取り扱うため、業務量は非常に多くなる。
単に調査や評価を実施して、その結果を報告すればエグゼキューションが完結するわけではなく、その結果を踏まえて、いかに上質なプランを提示するかというのが、レベルの高いエグゼキューション業務となる。
エスクロー
売り手と買い手の間に第三者である金融機関を介して、条件付で譲渡金額を決済する仕組みのこと。
エンジェル
「エンジェル」または「エンジェル投資家」とは、創業間もない企業に対し資金を供給する富裕な個人のことである。
投資の見返りとして株式や転換社債を受け取ることが一般的である。
エンジェル同士でグループを形成し、情報の共有や共同出資を行うこともある。
黄金株
会社の合併などの議案を否決できる特別な株券のこと。「拒否権つき株式」ともいう。原則として1株だけ発行できる。
普通株式を買い占められたときでも、黄金株を保有する株主によって重要事項の議決を拒否できる権限がある。
M&Aでは、友好的な株主に黄金株を与え、特に敵対的買収による合併提案を否決してもらうのが主な狙い。
オークション(競売)方式
M&Aの進め方の一つで、一つの売却案件に対して、複数の買い手候補が条件提示を行い、最も良い条件を提示した買い手が独占的な交渉権を得る手法。
複数社が競争するため、金額・スキーム等について良い条件を引き出せるケースが多い。
オーバーアロットメント
主にIPO(新規株式公開)時に利用される制度で、需要が多すぎて抽選倍率が高いときに、追加で株式を一時的に市場に供給する仕組みのこと。
株価の安定と需給バランスを保つために用いられる。
オフバランス
企業が行う取引や保有する資産・負債などを、貸借対照表(バランスシート)に計上せずに管理・処理することを指す。
つまり、会計上は「見えない資産や負債」として、表面上の財務状態を軽く見せる手法や構造をいう。
か行
会社分割
会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の会社に包括的に承継させるM&A手法。
会社分割は、まず、権利義務を既存の会社に引継がせる(吸収分割)か、新しく設立する会社に引継がせるか(新設分割)によって、2つに分類できる。
買戻条項
売買契約を締結する際に、一定の場合に対象物を売主が買主から買い戻す旨の特約を付する場合があるが、その条項のことをいう。
不動産売買契約の場合には民法579条以下に規定があるが、不動産売買以外の場合にも買戻特約を付することができ、当事者間では有効である。
M&A取引においては、経営権が移転し、権利関係が複雑となるため、クロージング後の解除又は買戻の特約が付されることは稀である。
瑕疵担保責任
売買の目的物に瑕疵(その物が取引上普通に要求される品質が欠けていることなど、欠陥がある状態)があり、それが取引上要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合に、売主が買主に対して負う責任のこと。
貸し渋り
銀行が企業から融資を申し込まれた際に、融資することを渋る、融資を断る行為。
銀行にとって貸し渋りは、融資を増やさないこと。
貸し剥がし
既に融資しているお金を期限前に返済してもらうこと。
銀行にとって貸し剥がしは、融資を減らすこと。
「コロガシ貸付(短コロ:短期継続融資)」の突然の停止も、実質的には貸し剥がしとされる(実務ではこれが多い)。
カニバリゼーション
自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう「共食い」現象のこと。
カニバリゼーションには本来「人食い・共食い」という意味がある。
新商品の導入による既存商品の売上減少、売場でのフェース展開の行き過ぎによる自社商品の売上減少、新規チャネルによる既存チャネルの侵食などがあげられる。
株式移転
ある株式会社が、自社の株式を新しく設立した会社に取得させること。
株式移転は単なる株式の移動ではなく、企業再編の意味合いが強く、ホールディングスカンパニーなどの持ち株会社を設立するときに多用される手法になる。
株式交換
株式交換は発行株式のすべてを他の株式会社ないし合同会社が取得することを指す。
そのため株式交換では100%子会社が設立されることになる。100%子会社は「完全子会社」とも呼ばれる。
交換する対価は、親会社の株式など有価証券のほかに、全く別の会社の株式でも構わないため、交換時の柔軟性が高いことが特徴である。
税制上、親会社側で仕訳が必要となっており、対価として指定した有価証券の価格定義において複数の選択肢があることが株式交換のメリットの一つである。
株式公開買付け、TOB
ある株式会社の株式等の買付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことである。
第三者が、企業買収や子会社化など、対象企業の経営権の取得を目的に実施することが多い。
他には市場に流通する「自社の株式」(自己株式)を購入するために使われることもある。
株式分割
すでに発行されている株を2つとか3つに分割すること。
株式分割では、発行済株式数は増えるが、分割の前後で株主資本は変わらないため、株価は下がることになる。
株主資本とは会社の持っているお金のことで、時価総額と同じ。
株式譲渡制限会社
発行する株式に「譲渡制限」が付けられている株式会社のこと。
株主が株式を他人に売却・譲渡するには、会社の承認(取締役会など)の決議が必要になる。
これは、会社の支配権や株主構成を安易に変えさせないための仕組みで、会社法では「発行する全部または一部の株式に譲渡制限を付けた株式会社」をこう呼ぶ。
「非公開会社」とも呼ばれ、上場企業とは異なり、株式が自由に流通しない。
株主間協定
株主間において、ある事項について取り決めを行うこと、あるいはその内容。
M&Aでは、株式譲渡や第三者割当増資によるM&Aの結果として、限定された複数の株主により会社が運営される場合、複数の株主によって被支配会社の運営の方法やルール等を定めた株主間協定が締結されることがある。
仮差押
債務名義を取る手続きの間に、債務者が財産を処分すると、金融機関は債権回収できなくなる。その保全策として実施するもの。
仮差押は、債務名義なしで施行される。
保全策とは、不動産は実際に仮差押の登記、債権は第三債務者(相手方)に対して債務者への返済を禁止する命令が出る。
借入金回転期間
企業が保有する借入金(短期・長期問わず)を、返済するのにどれくらいの期間がかかるかを示す指標。
キャッシュフローや資金繰りの健全性を測る目安。
【借入金回転期間の算出式】
借入金回転期間(ヶ月)=借入金(短期借入+長期借入)÷月商
借り換え
ある金融機関から融資を受けて、他の銀行の借入の返済を行うこと。
株主代表訴訟
日本の株式会社において、株主が会社を代表して取締役・監査役等の役員等に対して法的責任を追及するために提起する訴訟のこと。
会社法では「責任追及等の訴え」という。
簡易組織再編
再編対象会社・事業の規模が小規模である場合等、一定の条件を満たす場合に、合併存続会社等の株主総会の承認を省略できる制度をいう。
簡易組織再編は、吸収合併、吸収分割、新設分割、株式交換、事業譲渡、事業譲受にて利用される。
換価の猶予
国税を一時に納付することで、事業継続、生活維持が困難になる恐れがある場合に、税務署に「換価の猶予申請書」を提出することで、延滞税を大幅に引き下げることができる。
監査役
会社法に基づき、株式会社の業務や財務の監査を行う役職で、特に「取締役の職務執行を監査」する役割がある。
業務監査(取締役の業務遂行が法令・定款に違反していないかを監査)と、会計監査(財務諸表が適切に作成されているかを確認(大会社の場合は会計監査人と連携))がある。
管理機能
事業機能を支える人事・総務・経理・法務等の機能をいう。
企業概要書
秘密保持契約締結後に買収希望会社に提示する譲渡希望会社の詳細情報のこと。
企業名・事業内容のほか、業績情報、財務内容等が記載される。
期限の利益喪失
「期限の利益」とは、契約で決められた支払い期限までは支払いをしなくてよいという権利のことで、「期限の利益喪失」とは、その期限が残っていても、すぐに返済義務が発生してしまうことを意味する。
例えば、本来は「来月末までに返済すればOK」だったにも関わらず、支払いの遅延などにより、「今すぐ全額支払え!」と請求される状態である。
期待収益率
投資によって将来的に得られると予測される平均的な収益の割合のこと。
簡単に言うと、「この投資をすると、平均して何%のリターンが見込めるか?」という指標。
【期待収益率の算出方法】
期待収益率 = 各収益率 × その確率 の合計
希薄化
増資などで発行済み株式が増加することによって、1株当たりの価値が低下すること。
基本合意書
譲渡側が、特定の譲受側に絞ってM&A に関する交渉を行うことを決定した場合に、その時点における譲受側・譲渡側の了解事項を確認する目的で記載した書面をいう。
基本的に法的拘束力がないものの、譲受側の独占的交渉権や秘密保持義務等については、法的拘束力を認めることが通常である。
キャピタルゲイン
起業家やベンチャーキャピタルが、投資したスタートアップがIPOやバイアウトにより株式を売却する際に発生する、株式の値上がり益を指す。
「利ザヤ」「売却益」「譲渡益」などと呼ばれることもある。
一方、売却によって損失が発生した場合は「キャピタルロス」と呼ばれる。
なお、資産運用に際して、株式の配当金、銀行預金や利付債券の受取利息、投資信託の収益分配金、不動産投資の場合は家賃収入など、ある資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入のことインカムゲインという。
救済型M&A
経営不振に陥った企業を救済する形で行われるM&Aのこと。
そのままで経営不振で破綻してしまう可能性のある企業に対して支援するために行われ、増資などの資本参加をして一緒に経営再建を目指すということ。
多くのケースで買収企業に対して新株を発行しているが、これは新株発行で手に入れる資金を会社に投入して、経営の再建をより迅速に、効率的に進めるということがある。
救済型M&Aは金融業とか卸・小売業などで業種でよく行われる。
吸収合併
合併の種類で、一方の法人格のみを残し、他方の法人格を消滅させて、消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させる手法。
このほかに、すべての法人格を消滅させ、合併により設立する会社に承継させる「新設合併」があるが、実務上はほとんど吸収合併が選択されている。
吸収型統合
PMIでの統合の形態の1つ。
被買収企業を買収企業に吸収し、法人格として一体化する方法。
その他、放任型統合・連邦型統合・支配型統合がある。
競業避止義務
M&A後に売主が対象会社に関する競業行為を行い、買主に損失を与えることを避けるために、売主が負う競業禁止の義務のこと。
M&Aにおける売主が、譲渡した事業のノウハウや人脈を利用して競業を行った場合、買主がM&Aの目的を果たせなくなるため、M&Aにおける契約書では売主に対して一定期間・範囲の競業避止義務条項を盛り込むことが一般的である。
なお、事業譲渡の場合には会社法21条に明文規定があり、当事者間に何も合意がなければ20年の競業避止義務が発生する。
強制執行
債権者(主に銀行)が裁判所に申立を行うことで、強制的に債務者の財産を差し押さえ、競売による換価代金から債務弁済を受ける手続き。
対象は、預金・売掛金・不動産・賃料・給料・敷金・有価証券・動産など。
金融機関にとって労力とコストがかかる手続きになるため、ある程度の金額の回収が見込める財産が存在する場合以外は実施されない。
「債務名義」という強制執行を認める文書が必要。
⇒①裁判所の判定、②和解調書・調停証書、③仮執行制限付支払督促、④執行証書(強制執行の認諾文言のある公正証書)
事前に差押を行う「財産の特定」が必要。
競争の基本戦略
競争に勝ち残るための基本戦略で、以下の4種類がある。
①コストリーダーシップ戦略
②低コスト集中戦略
③差別化戦略
④差別化集中戦略
拒否権付株式
「黄金株」とも呼ばれ、種類株の一種で、重要事項の議決を拒否できる権限を付与した株式のことをいう。
これは株主総会などにおいて、重要議案を否決できる権利(拒否権)を与えられた株式で、敵対的買収防衛策の一つとされ、敵対的買収者が出した提案を株主総会で否決してもらうことができる。
競売
債務者が借入金の返済をしなくなった時、債権者(主に銀行)が裁判所に申し立てることによって、担保として提供を受けていた不動産や債務者の財産を差し押さえて、裁判所の権限によって強制的に売却をし、その売却代金から支払いを受け、債権の回収に充てる手続き。
利払いは免除してもらい、返済額をすべて残元金に充当してもらうという「元本優先充当」の交渉が可能。
競売には、「担保不動産競売」と「強制競売」の2種類がある。
拒否権
定款変更や合併、株式交換等、会社の重要事項の決議につき、否決できる権利のこと。
一般的な株式会社の場合、議決権総数の3分の1超を保有すれば拒否権 (否決権) が発生する。
拒否権付株式
「黄金株」とも呼ばれ、種類株の一種で、重要事項の議決を拒否できる権限を付与した株式のことをいう。
これは株主総会などにおいて、重要議案を否決できる権利(拒否権)を与えられた株式で、敵対的買収防衛策の一つとされ、敵対的買収者が出した提案を株主総会で否決してもらうことができる。
金庫株
「自己株式」とも呼ばれ、株主総会の決議に基づき、企業が発行した自己の株式(自社株)について、発行後にその企業自身が自社株を取得し、保有している株式のことをいう。
かつては、企業が自社株を取得できるのは、消却やストックオプションなど特定の目的の場合に限定されていたが、2001年の商法改正で金庫株が解禁され、以後は機動的に自社株買いを行うことができるようになった(今日では会社法に規定)。
【金庫株の取得の主な目的】
・資本効率の向上を通じた株主利益の拡大
・単元未満株式の買増制度への対応
・ストックオプション制度の活用(権利行使に備えた事前保有)
・機動的な企業組織の再編(株式交換・株式分割・合併等への利用)
・持ち合い株式の解消の一時的な受け皿
・将来の株価の下落や意図しない買収への予防策
クイック・ヒット
短期的に成果が上がることが期待され、比較的簡単に実行できる取組。
従業員等に対して、M&Aによるメリットを早期に実感してもらい、モチベーションを向上させるために行うことが有効なことも多い。
偶発債務
現時点では債務ではないが、一定の事由を条件として、将来債務となる可能性がある債務のことをいう。
第三者に対する債務保証や訴訟から生ずる損害賠償責任などがこれに該当する。
クラウンジュエル
企業が敵対的買収の危機に置かれている場合に、その企業の保有している価値のある部門や財産を第三者に譲渡したり分社化することで、自社の魅力を低下させ、買収者の意欲を削ぐということ。
グリーンメール
株を買い占めて会社を乗っ取るぞ」と対象企業の経営陣を脅し、自分の所有株式を高値で買い取らせるための一種の脅迫状。これを頻繁に行う人を「グリーンメイラー (green mailer)」と呼ぶ。
日本でかつては小糸製作所の株式をトヨタに引き取らせたブーン・ピケンズ氏などが有名。
クロージング
M&Aでの経営権の移転を完了させる最終的な手続をいう。
株式譲渡の場合は、株券の引渡とその対価の支払、役員の改選人等がクロージングとして必要な手続となる。
経営資源
経営資源とは、企業経営に必要となる要素をいう。
主に、「ヒト(人的資源)」、「モノ(設備、備品等の物理的な資源)」、「カネ(資金)」、「情報」が含まれる。
経営デザインシート
環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、自社や事業の存在意義を意識した上で、「これまで」を把握し、長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想し、それに向けて今から何をすべきか戦略を策定するためのツール。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
経営レバレッジ係数
売上高の変化が営業利益にどれだけ影響を与えるかを示す指標。
【経営レバレッジ係数の算出式】
経営レバレッジ係数=限界利益÷営業利益
継続的所有義務
新株購入時にその新株を一定期間売却せず継続保有する義務・ロックアップのこと。
例えば株式公開の際、キャピタルゲインを目的に株式を保有していた株主が、一斉に持株を売り出すと株価が下落するが、これを防ぐ目的などで付されるケースがある。
現在価値
将来のキャッシュフローの現時点における価値のこと。
たとえば現時点において手元に有している100万円と1年後に手元に入ってくる100万円では、現在持っている100万円の方が価値が高い。
検索の抗弁権
債権者から請求を受けた場合、主たる債務者に弁済の資力があることを証明して、「先に主債務者に請求せよ」と主張し、その請求を拒否できる。
減損価格
貸借対照表に計上している資産の価値が下落した場合、それを帳簿価額に反映させる会計処理のこと。
例えば、その資産を使用することにより将来得られるキャッシュフローが、当初見込んでいたよりも少なくなった場合、回収不能分を使用価値の低下として帳簿価額に反映させる。
現物出資
株式会社の設立あるいは新株発行に際して、金銭以外の財産(例えば、不動産、有価証券、債権、特許権等の知的財産権等)をもって出資することをいう。
出資財産の評価額が過大であれば「資本充実の原則」に反するので、一定の場合を除き裁判所の選任する検査役による調査が必要になるなどの手続きが会社法により定められている。
交付金合併
現金を対価として交付する合併方法のことで「キャッシュアウトマージャー」ともいう。
合併対価を現金で交付されると、消滅会社の株主はその意思と関係なく合併後に発足する会社の株主ではなくなり、存続会社の発行済み株式の増加を招かないため、買収会社の株主にとってメリットがある。
ゴーイングプライベート
上場会社が上場を廃止して、非上場会社になることをいう。
M&Aの場面では、少数株主を排除し(スクイーズ・アウト)、対象会社に対する完全な支配権の取得を目的として行われることが多い。
コーポレートガバナンス
企業統治のことで、企業経営を管理監督する仕組みのこと。
株式会社では、会社の所有者である株主により選任された取締役が会社の経営を行い、会社の経営者は株主に対して株主の利益の最大化を実現すべく会社を経営する責任を負っているが、経営者がその責任を適切に果たしているか管理監督をする仕組みのこと。
ゴールデンパラシュート
買収防衛策のひとつで、通常は戦略的買収が成功すると現在の取締役は解任されることが多いが、ゴールデンパラシュートはその点に着目し、あらかじめ取締役の退職金を高額に設定しておくこと。
これによって、買収する側は買収後の出費を予想し買収をあきらめる、といった予防効果が見込まれる。
通常、ゴールデンパラシュートに使われる退職金の額は取締役の給料の3倍程度であるといわれている。
類似の買収防衛策に「ティンパラシュート」があるが、これは合併後、従業員が人員整理されることを見越し、彼らの退職金を高額に設定しておくことで、買収を予防する方法。
コストアプローチ
貸借対照表の純資産に着目した評価手法。
客観性がある一方で、収益性が反映されないという欠点がある。
固定長期適合率
固定資産(長期で使う資産)を、自己資本と長期借入金などの安定した資金で、どれだけまかなえているかを示す指標。
「長期で使う資産は、長期の安定資金でまかなうのが健全」という資金調達の原則に沿って、財務の健全性を判断できる。
【固定長期適合率の算出式】
固定長期適合率(%)=固定資産÷(純資産+固定負債)×100
コベナンツ
本来は特約条項という意味で、買収契約書(SPAなど)に記載される、買い手・売り手が守るべき約束事(契約条項)のこと。
通常、取引完了(クロージング)前後の行動制限や義務として設定される。
取引リスクの軽減・クロージングの安全確保・価値毀損の防止を目的とする。
固変分解
「固定費」と「変動費」にコストを分解することを指す。
主に管理会計や原価計算で使われる考え方で、「損益分岐点分析(BEP分析)」などの前提となります。
さ行
債権放棄
金融機関等の債権者が、債務者企業から債権の返済を受ける権利を放棄すること。
債務者企業では、債務免除益課税、経営者責任、株主責任、保証人責任、さらに中小企業においては私財提供等も課題となる。
催告の抗弁権
債権者から請求を受けた場合、「まずは主債務者に請求せよ」と請求することができる。
最終契約書
最終契約書とは、買収価格やその他の条件について、売り手と買い手との間で最終合意に達したときに交わされる契約書。
最終契約とは、M&Aに関する最終的な合意したもので、M&A手法によって契約種類は異なるが、中堅中小企業のM&Aでは株式譲渡契約書が最終契約となることが多い。
M&Aの実務では、基本合意書によって合意された事項を基礎として、買収監査及び条件交渉の結果、最終的な法的拘束力を持つ契約書として作成される。
M&Aの形態が株式譲渡の場合は「株式譲渡契約書(Stock Purchase Agreement )」、営業譲渡の場合は「営業譲渡契約書(Business Transfer Agreement)」が最終契約書となる。
再調達原価法
ある資産を「今」同じものとして取得・構築する場合に、どれだけの費用がかかるかを基準に評価する方法。
主に資産の評価(特に固定資産や事業評価)において使われる手法の一つで、「コストアプローチ(原価法)」に分類される
債務者区分
金融機関が融資先(=債務者)の信用状況や経営状態を評価し、分類する区分のこと。
これは、金融庁の「金融検査マニュアル」などに基づいて、貸出金の回収可能性やリスクを評価する目的で用いられる。
① 正常先:業績も財務も健全。返済に問題なし
② 要注意先:一時的な業績悪化などはあるが、現時点で返済に支障はない
③ 要管理先(ヨーカン):延滞・再建中など、経営に問題があり注意が必要
④ 破綻懸念先(ハケ):実質的に破綻の可能性が高いが、法的破綻には至っていない
⑤ 実質破綻先(ジッパ):事業継続が困難な状態(法的整理など)
⑥ 破綻先:法的に破産や再生手続き中など。明確に破綻している
債務償還年数
借入債務の返済を完了させるまでに必要な年数。
返済猶予に応じる際は、債務償還年数を確認する。
銀行は、通常は5~10年(MAX15年)を求める。
有利子負債対キャッシュフロー倍率(有利子負債 ÷ 営業CF)もよく使われる。
【債務償還年数算出式】
有利子負債(借入金) ÷ (見込純利益)
債務超過
赤字の累積によって負債が資産を上回り、純資産の部の合計がマイナスになっている状態。
債務超過解消年数
債務超過を解消するのに必要な年数。
銀行は、通常は3~5年(MAX10年)を求める。
債務超過解消年数は、「実質債務超過」をベースに算出。
【債務超過解消年数算出式】
債務超過額 ÷ (見込純利益)
詐害行為
債務者が債権者を害することをはかって,自己の財産を減少させる法律行為をいう。
例えば,債権者から差押えを受けそうになった際、差押えを免れるため財産を他人に贈与するようなこと。
産業活力再生特別措置法(産業再生法)
過剰な設備や債務を抱えた企業の経営再建を支援する目的で、1999年に施行された法律。
企業が不採算部門からの撤退など事業再構築計画を所管官庁に提出して認定を受ければ、設備廃棄に伴う欠損金の繰越期間の延長、登録免許税や不動産取得税の軽減、日本政策投資銀行の低利融資などが受けられる。
2009年の改正によって、金融危機による急激な売上高の落ち込みで自己資本が減少し、融資に加え、資本増強が必要となった企業を対象とする公的資金による資本増強支援策が追加された。
仮に出資先企業が倒産した場合には、政府が日本政策金融公庫を通じ損失の5~8割程度を補填することとなる。
仕入債務回転期間
仕入先への支払い(=買掛金や未払金など)を平均して何ヶ月後に行っているかを示す指標。
簡単に言えば、「仕入れてから何ヶ月で支払っているか」=支払いの猶予期間を示すもので、資金繰り・運転資金の健全性を見る重要な指標。
【仕入債務回転期間の算出式】
仕入債務回転期間(ヶ月)=支払債務÷月平均仕入高
シェルカンパニー
M&Aの資金調達をするために設立される実体のないペーパー企業のこと。
受け皿会社ともいう。
事業機能
企業の組織において、直接売上に結びつく機能(営業や製造・開発等)をいう。
事業計画書
事業の内容・目的・収支見通しなどをまとめた文書。
特に将来のPL(損益計算書)を指す場合が多いが、三表(PL、BS、CF)を作成する場合もある。
事業譲渡
対象会社の事業の全部又は一部を売買すること。
複数の事業を行っている会社が、特定の事業だけ譲渡したい場合や対象会社に存在する潜在的な債務を切り離すことを目的に選択される手法である。
買い手にとっては必要な部分のみを取得できるメリットがあるが、権利義務関係を個別に引継ぐ手続が必要。
事業性評価
取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価すること。
「事業性評価融資」とは、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、事業性を評価して行う融資のこと。
著書「捨てられる銀行」(橋本卓典著、講談社現代新書、2016年5月発行)以降、銀行が取り組んでおり、注目されている。
事故(金融事故)
自己破産や任意整理など法的な処理がなされた、また返済延滞が3か月以上の債務不履行。
デフォルト。
自己株式
株式会社が所有している自己の株式のこと。
メリットは、例えば自己株式の所有比率というものが多ければ、会社を売却する時に買収先から資金が入るので、財務をより健全化することができる。
自己資本比率
企業の総資産のうち、どれだけが自己資本(返済不要の資金)で構成されているかを示す指標。
企業の財務の安定性・健全性を評価する最も基本的な指標のひとつ。
【自己資本比率の算出式】
自己資本比率=純資産÷総資本×100
事前警告型ライツプラン
敵対的買収(TOBなど)への対抗策として日本企業が導入する「ポイズンピル(毒薬条項)」の一種で、「買収防衛策」の一つ。買収者に対して事前に警告を発し、それでも敵対的買収を進めた場合に発動するという仕組み。
1.買収者に対して「警告」
・一定割合以上の株式を取得しようとする者に対し、事前に情報開示や協議を求める
・企業価値や株主の利益を害すると判断された場合、対抗措置をとる可能性があると伝える
2.対抗措置として新株予約権(ライツ)を発動
・既存株主に対して割安な価格で新株を購入できる権利(新株予約権)を与える
・結果として買収者の持株比率が希薄化(dilution)し、支配が困難になる
実質債務超過
資産を時価評価額に修正(実態BS)した際に、純資産がマイナスになるケース。
金融検査マニュアルでは、金融機関は債務超過の有無を実態BSで判定する。
私的整理(任意整理)
当事者間の合意に基づき債務を整理する手法(裁判所は未関与)。
裁判所の関与なく、当事者間で債務整理の手続を行う。
当事者間(金融機関と企業)の他、各機関が関与するケースあり。
使途不明金
「何に使ったか分からないお金」、つまり帳簿や会計記録上、支出の理由や内容が明確でない資金のこと。
発生原因は、経理ミス、管理不備、故意の隠ぺいがある。
仮払金・立替金・貸付金といった勘定科目で処理されているケースが多い。
財産評価基本通達
相続税・贈与税を計算する際に対象財産の価額評価基準として国税庁が定めているもの。
非上場株式の評価方法も規定されている。
同族会社のグループ内で株式を移動したり、合併したりする場合には財産評価基本通達に準拠して評価を行うことが多く、同族会社のグループ内再編ではよく活用される評価方法である。
ただし、極めて画一的な評価方法であること、納税目的の評価方法に過ぎないこと、から第三者間のM&Aにおける評価方法として採用さることは滅多にない。
シナジー(効果)
2つ以上の企業又は事業が統合することで、それぞれが単独で運営されるよりも、生み出される価値が大きくなる(「1+1」以上の価値が生じる)相乗効果をいう。
シナジー効果は、売上拡大につながる「売上シナジー」と、売上原価や販管費といったコストの削減につながる「コストシナジー」に大きく分類される。
シナジーバイヤー
自社の事業強化・事業拡大を目的としたM&Aの買い手(事業会社)のこと。
ファンド等を「フィナンシャルバイヤー」と呼ぶことから、それらと区分しての呼称であり、「ストラテジックバイヤー」ともいう。
ファンドより事業会社の方がシナジー効果が得られると考えられる分、フィナンシャルバイヤーよりも高い買収価額が提示できてビッドでは有利とされているが、現実のM&Aではそうでないケースも多く見られる。
シニアローン
メザニン (劣後ローン)に相対する概念で、他の債権よりも優先的に弁済されるリスクの低いローンのこと。
いわゆる優先貸出金。シニアファイナンスとも呼ばれるが、特に借入を強調したい場合にシニアローンという言葉が使われる。
支配型統合
PMIでの統合の形態の1つ。
被買収企業を子会社として残すものの、買収企業が積極的に経営に関与する方法。
その他、放任型統合・連邦型統合・吸収型統合がある。
支配権プレミアム
経営を支配する、もしくは経営に影響力を持つようなまとまった割合(議決権の過半数以上)の株式を取得する場合に支払われる株式買収価格の上乗せ部分。
「コントロールプレミアム」ともいう。
M&Aでは、直接経営を支配、もしくは経営上の意思決定に重要な影響を与える大量の株式の取引が行われるため、経営支配・影響権に対して、何かしらの対価が支払われるべきだという考えのもと、譲渡企業の企業価値評価をする際、その分の価値(プレミアム)を上乗せすることがある。
資本コスト
企業が使用資本のために負担する費用。
配当および支払利子。
資本充実の原則
株式会社は、株主に払込を受けた資本金を安易に外部に流出させてはならないという考え方で、資本金を会社内部に留めておくことで、取引先や銀行など会社の債権者の保護を図るというもの。
シャークリペラント
「サメよけ戦略」とも言い、買収しにくくなるような多くの規定を作っておくことで、敵対的買収の防衛策のひとつ。
主なシャークリペラントには以下の4種類ある。
①スーパーマジョリティ
株に合併や取締役の解任決議要件を非常に厳しくするというもの。
この状況ではいくら敵対的買収で株の買い占めが行われても、買収者が取締役会を支配することは難しくなる。
②スタッカードボード
取り締まりの改選に「時差」をつけるというもの。
このような時差任期制を採用することで、実際に敵対的買収者が会社で影響力を持つまでにはかなりの時間がかかるということになる。
③取締役解任への正当事由の付加
正当な理由なしに任期途中でその職から解任することはできないという取り決め。
④公正価格条項。
少数株主に対しても公平な価格の支払いを要求するもの。
つまり部分的に支配権を得ても、次の買収がなかなかうまく行かない。
収益弁済
借入金の返済をキャッシュフロー(利益)で賄うこと(健全な状態)。
従業員1人当り人件費(平均給与)
企業が1人の従業員に対して年間どれだけの人件費をかけているかを示す指標。
給与、賞与、社会保険料など、「人」にかかる総コストの平均値。
【従業員1人当り人件費の算出式】
従業員1人当り人件費(円)=人件費÷従業員数
従業員1人当り粗付加価値額(労働生産性)
企業が生み出した粗付加価値(=営業利益ベースの価値)を、従業員数で割って算出する労働生産性の指標。
1人の従業員がどれだけの付加価値を生み出しているかを測ることで、企業の稼ぐ力や効率性を評価できる。
【従業員1人当り粗付加価値額の算出式】
従業員1人当り粗付加価値額=粗付加価値額÷従業員数
従業員1人当り売上高
企業の売上高を従業員数で割って、1人あたりが生み出している売上の平均額を示す指標。
労働生産性を測るうえで基本的かつ重要な指標。
【従業員1人当り売上高の算出式】
従業員1人当り売上高(円)=売上高÷従業員数
従業員1人当り有形固定資産(資本装備率)
企業が保有する有形固定資産(土地・建物・設備など)を、従業員数で割った指標。
「1人の従業員が、どれくらいの設備・資産を使っているか」を表すもので、資本集約度や資産効率を測るときに使う。
【従業員1人当り有形固定資産の算出式】
従業員1人当り有形固定資産(円)=有形固定資産÷従業員数
集中実施期
PMIで、M&A成立後初日(DAY.1)から一定期間に集中的に行われる統合作業。
概ね1年を指すことが多い。
取得条項付株式
株式会社が、株主の同意なしに一定の事由が生じたことを条件に株主の有する株式を取得することが出来る株式のこと。
敵対的買収策として注目されている。
株主の意思とは無関係に強制的に取得できる点で会社に有利。
例えば一定の事由として「敵対的買収者の取得比率が20%を超えた場合」と定めておけば、敵対的買収者が現れた場合に会社が敵対的買収者から強制的に株式を取得できる。
この場合敵対的買収者に交付する対価は、社債、他の種類の株式、現金などが認められている。
取得請求権付株式
株式会社に対して株主がその有する株式取得を請求することができる内容の種類株式のこと。
種類株式
会社法で認められた、内容の異なる2つ以上の種類の株式であり、支配権の獲得、配当など株主の多様なニーズに配慮したもの。
会社が種類株式を発行するためには、発行する株式の内容について、定款で所定の事項を定める必要がある。
定めることができる事項は以下のとおりで、複数の事項が組み合わさった種類株式を発行することも可能である。
・剰余金の配当・残余財産の分配
・議決権制限
・譲渡制限
・取得請求権・取得条項
・全部取得条項
・拒否権
・クラス・ボーディング
ショウ・ストッパー
買収防衛策の一つで、買収を阻止する法律的な障害を見つけたり、作り出してしまう手法。
証券取引法や独占禁止法などに抵触する可能性を検討することが多い。
証書貸付(ショウガシ)
「金銭消費貸借契約書」に署名、押印して銀行からお金を借りる方法
金融機関の手続きが面倒で、長期借入(1年以上)向き。
少数株主
他の会社 (親会社) に50%超の株式を保有されている会社 (子会社) において、親会社以外の株主のこと。
少数株主であっても、議案提出権や帳簿閲覧権など一定の経営権はある。
焦土作戦
敵対的企業買収に対する対抗策のひとつで、買収対象の企業が優良資産・収益性の高い事業(クラウン・ジュエル)を売却、あるいはあえて多額の負債を負うことによって、企業価値を下げ、買収意欲をそぐ防衛手法を指す。
ただし既存株主の資産価値も低下させる結果となるため、基本的に既存株主の同意を要する。
譲渡制限株式
会社は定款によって株式の譲渡による取得は会社の承認を要するという形で株式に譲渡制限をかけることができ、この譲渡を制限された株式のこと。
会社が定款変更により、株式に譲渡制限をかけるときは、通常の定款変更に必要な株主総会の特別決議以上に厳格な決議を必要とし、議決権を有する株主の半数以上であり、かつ議決権を行使できる株主が保有する議決権の3分の2以上の賛成が必要である。
さらに、反対株主には株式買取請求権が与えられる。
新株予約権
将来、あらかじめ定められた価格で会社の新株を引き受けられる権利のこと。
あらかじめ定められた行使価格を時価が上回っている場合は権利行使すれば利益が得られ、逆にあらかじめ定められた行使価格を時価が下回っている場合は権利放棄すれば損失を確定できる (新株予約権を取得するのにかかった費用が無駄になるだけですむ) ので、新株予約権を保有している投資家は損失を限定しつつ利益を得られる権利を手にできる。
新設合併
すべての法人格を消滅させた上で、新たに設立する会社に権利義務を承継させる手法。
この他に、一方の法人格のみを残し、他方の法人格を消滅のうえ、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させる「吸収合併」があり、実務上ほとんど吸収合併が選択されている。
人的分割
会社分割の類型の一つ。「分割型会社分割」とも言う。
会社分割によって新設会社の株式又は既存会社の株式が発行されるが、この株式を誰に割り当てるかによって「物的分割」と「人的分割」に分類される。
物的分割とは、株式を分割会社に割り当てる分割であり、人的分割とは株式を分割会社の株主に割り当てる分割をいう。
信用貸し
融資取引先に対して、無担保・無保証で融資を行うこと。
信用保証協会
信用力が不足する(業歴が浅い、業績が芳しくない等)中小零細企業が、金融機関から事業資金の借入を行う際に、借入を保証する公的機関。
都道府県を単位として47協会、市を単位として5協会(横浜、川崎、名古屋、岐阜、大阪)、計52の協会がある。
垂直形M&A
業の川上から川下までを一気通貫させる「垂直型」のM&A。
水平型と同様に「多角化」を目的としたM&Aで、同業種の中でも業態の異なる川上、川下の会社を買収し、それによってシェアの拡大や技術力や利益率の向上を狙うというもの。
例えばアパレルを例にすると、川上のほうには原材料を供給する会社があり、そのやや下流にはデザインや縫製などを行うメーカー、さらに、卸や小売といった消費者により近い業態になっていき、製造から販売まで包括的に運営することができる。卸や小売店に取られていたマージンがなくなる分、利益率の向上などに寄与することができる。
水平型M&A
主に同業種・同業態の中で行われるM&Aで本業のシナジー効果を見込んで行われる。
本業のシナジー効果の中には、大きく「規模」と「エリア」がある。買収によって規模が大きくなれば、スケールメリットが発生することから原材料や商品の仕入れが有利になるばかりか、特定の地域内でプライスリーダーとして価格決定権を持つこともできる。
スーイサイドピル
敵対的買収防衛策のひとつで、敵対的買収者が一定の議決権割合を取得した時点で、財務状態が著しく悪化するような契約等を行うこと。
例えば、一定の議決権割合を買収者が取得した場合に、株式を時価を大幅に上回る社債に転換する条項を付与するなど。
スクイーズアウト
消滅会社の株主に現金や社債を交付することによって、消滅会社の株主存続会社や親会社の株式を保有させないようにする合併手法で、合併対価の柔軟化によって可能となった。「締め出し合併」ともいう。
完全子会社化を目的としたM&Aにおいて、売却に応じない株主の有する対象株式の全部を、その株主の個別承諾を得ることなく取得できる。
対象会社の株主は、自らの意思にかかわらず対象会社の株式を失うことになるので、それに対する適正な対価が交付される必要がある(これを「キャッシュアウト」という)。
代表的な手法としては、全部取得条項付種類株式、または株式の併合による調整、株式等売渡請求、金銭を対価とする合併・株式交換による組織再編がある。
スタッガード・ボード
例えば「毎年3分の1ずつ改選する」といった方式で、取締役の任期や改選タイミングをずらし、一回の改選で全ての取締役を変更しないようにすること。
敵対的買収者に一度に経営権を握らせないことを目的とする買収防衛策の一つ。
ステークホルダー
企業と利害関係を有するあらゆる者を指し、主なものとして株主、従業員、顧客、取引先、債権者等が挙げられる。
ストックオプション
会社が特定の人(主に役員や従業員)に対して、将来あらかじめ定めた価格で自社株を購入できる権利を与える制度のこと。
インセンティブ制度の一つで、会社の業績向上や株価上昇を目指す動機づけとして使われる。
M&Aでは、業績連動型報酬として取締役に付与する新株予約権であり、取締役はどれだけ会社の株価が上昇しても、当初定められた行使価格で新株予約権を行使し、株式を取得することができる。
会社の株価が上昇するほど儲けが増えることになるので、取締役には会社の業績を向上させ株価を上昇させようとするインセンティブ(動機付け)が与えられることになる。
ストラテジック・バイヤー
M&Aに際して、自社の事業強化や事業拡大など経営戦略上において、必要な企業に対して買収を行う買い手のこと。
既存株主が持ち株や企業自体の売却を行う際の相手方(買い手)のうち、経営の指導効果や事業のシナジー効果(相乗効果)などによりもたらされる投資価値の拡大を目的とした事業会社のことを指す。
ストラテジック・バイヤーに対して、事業上の関連性が特になく、単に対象会社の解散価値や株価の割安度合いなどに注目して投資をする買い手のことを「フィナンシャル・バイヤー」と言う。
スピンオフ
企業が自社の一部門や子会社を切り離して、独立した新会社として分離・上場させることを指す。
経営戦略や企業再編の一環として行われる。
親会社の株主は、元々の親会社の株式と、分離した子会社(もしくは事業部門)の株式の両方を保有することになる。
スモールPMI
中小企業同士のPMI。
スモールPMIは大企業と大きく異なり、売り手企業の経営状況が悪化している、或いは安定していないケースが多い。そのためスモールPMIでは、単に統合の手続きだけではなく、売り手企業の経営改善と成長戦略を実施しながら、および各種シナジーを構築することが重要である。
税制適格企業再編
「合併」「会社分割」「現物出資」「事後設立」「株式交換」「株式移転」などの企業再編において、実質的に経済実態に変更がないと認められる企業再編 (株式以外の金銭等の交付がなく、持分比率が50%を超える企業グループ内再編や共同事業を営むための再編など税法上の条件を満たす企業再編) のこと。
税制適格の企業再編では、移転資産の譲渡益課税の繰り延べや繰越欠損金の引継ぎなど税務上優遇が受けられる。
制度融資
信用保証協会、金融機関、自治体の三者での融資を受ける制度で、各自治体が地域の実情に応じて設計(各自治体で内容異なる)。
保証協会の保証が条件で、比較的金利が低く、返済期間が長い。
設備資金
事業に必要な設備や資産を購入・導入するための資金のこと。
企業が長期的に使うモノ(=固定資産)を整えるときに使う。
セラーズバリュー
M&A の売り手側の企業価値のこと。
売り手にとっての企業価値 (セラーズバリュー) をバイヤーズバリューが上回っていなければ理論的にはM&Aは成立しない。
潜在株式
現時点では発行されていないが、将来発行される可能性のある株式のこと。新株予約権 (ストックオプションを含む) とほぼ同じ。
潜在株式のある会社を買収する場合、発行済み株式を買い取った後に潜在株式が顕在化すると、持ち株比率が低下して甚大な損害を受ける場合もあるので、留意が必要である。
全部取得条項付種類株式
複数の種類株式を発行する株式会社が、そのうち一種の種類株式の全部を株主総会の特別決議で取得することが出来ると定款に定めた種類株式である。
普通株式に対して全部取得条項を付すためには、株式の内容変更に伴う定款変更が必要なため、株主総会の特別決議を経なくてはならない。
さらに全部取得条項を付される種類株式の種類株主総会の特別決議も求められることになる。
また、普通株式に譲渡制限を付すためには、その普通株式を取得の対価とする取得請求権株式と取得条項付株式の株主総会の特別決議も必要となる。
当該種類株主総会の決議に反対した株主には株式買取請求権が付与されることとなる。
総資本回転率
企業が保有する総資本(=総資産)を、どれだけ効率的に売上につなげているかを示す指標。
「会社が持っているお金・モノを、どれだけ効率よく回して売上を作っているか」を表す。
【総資本回転率の算出式】
総資本回転率(回)=売上高÷総資本
ソーシング
M&A業務において、ターゲットとなる企業を選定し、ターゲット企業との交渉を行うことをいう。
ソーシングを行うにあたって、まず一般にも公開されている情報をもとにM&Aの目的に合致する企業をリストアップする(ロングリスト)。
ロングリストに登録された企業に対して詳細な情報分析やM&Aへの関心度の調査によって絞り込みを行い、ショートリストを作成する。
ショートリストに登録される企業は一般には10社以内とされ、条件の良いものから優先的に交渉を開始する。この交渉業務までがソーシングに含まれる。
損益分岐点売上高
企業が「利益ゼロ=トントン」になる売上高のこと。
つまり、売上がこれを上回れば黒字、下回れば赤字になる。
た行
ターゲティング戦略
市場を細分化(セグメンテーション)したうえで、どの顧客層を狙うか(=ターゲット市場)を選定する戦略。
ターミナルバリュー
事業や企業の生み出す将来のキャッシュフローを試算して、その価値を計算する際に、個別にキャッシュフローの試算ができない期間(例えば5年目以降)について算定された永続価値のこと。
DCF法で行われた企業評価では、ターミナルバリューが事業価値の大半を占めるケースも見受けられ、中には非現実的な仮定を行っているものもある。
買収価額算定にあたっては仮に第三者意見を取得したとしても、内容の吟味が必要である。
第三者割当増資
売却企業が新たに株式を発行し、買収企業に引き受けてもらう方法。
会社に資金が注入されるため、会社の財務基盤が強化されるが、これもM&Aのうちのひとつ。
買収企業との関係は、出資比率により異なるが、役員の派遣を伴うケースが中小企業M&Aでは多く見られる。
また第三者割当増資は、株式譲渡と同じく株式を取得する方法(株式取得)であるが、既存の株主と買収企業の株主が共に経営をしていくため、100%の完全買収は出来ない。
第三者保証人
経営者本人以外の第三者保証人。
信用保証協会の保証付融資では、H18年度より原則禁止。
退職給付引当金
従業員の退職に備えて見積り計上する会計上の負債のこと。
退職所得税
退職金に課せられる所得税及び住民税。
退職金は賃金の後払い、または長年の貢献に対する慰労金という性質を持つため、終身雇用の優遇措置として、給与等の他の所得とは分離して税額が計算され、勤務年数に応じた退職所得控除や、退職所得控除後の金額の2分の1に対して課税されるなど、税務上、他の所得よりかなり優遇されている。
第二会社方式
第二会社方式とは、財務状況が悪化している中小企業の収益性のある事業を会社分割や事業譲渡により切り離し、他の事業者(第二会社)に承継させ、また不採算部門は旧会社に残し特別清算等をすることにより、事業の再生を図る手法である。
代表訴訟
経営者の株主利益に反する行為に対して、株主が集団で取締役の責任を追及すること。
ダイリューション
増資などで発行済み株式が増加することによって、1株当たりの価値が低下すること。 「希薄化」ともいう。
大量保有報告書
国内に上場している株券等を大量に取得した際、内閣総理大臣への報告義務が発生するが、これが「株券等の大量保有の状況に関する開示制度」(通称5%ルール)と呼ばれるもので、内閣総理大臣(実務的にはEDINET)へ提出する報告書を「大量保有報告書」と呼ぶ。
大量の株式の移動が株価に大きな影響を与えることが多いため、こうした情報を持たない一般投資家を保護するために、1990年12月に制度が導入された。
棚卸資産回転期間
保有している在庫(=棚卸資産)が平均して何ヶ月で売上に変わるかを示す指標。
在庫がどれだけ効率よく回転しているか=在庫の滞留状況や資金効率を測る重要な指標。
【棚卸資産回転期間の算出式】
棚卸資産回転期間(ヶ月)={(期首棚卸資産+期末棚卸資産)÷2}÷月商
短コロ
「短期コロガシ」「短期継続融資」「コロガシ貸付」「手形コロガシ」などとも言われる。
短期借入を、擬似資本的に活用できる。
チェンジオブコントロール条項(COC条項)
チェンジ・オブ・コントロール(COC:Change Of Control)条項とは、ある企業が締結している契約(例えば、賃貸借契約、取引基本契約、フランチャイズ契約等)について、当該企業の株主の異動や支配権の変動等により当該契約の相手方当事者に解除権が発生すること等を定める条項をいう。
知覚品質
競合と比較して購買を動機づける優位性。
購買を決定づける最も重要な要素。
中間法人
営利を目的とする企業のような私法人でもなく、また公益を求める「公益法人」でもない中間的な法人を指す。
具体的には一般社団法人、一般財団法人、労働組合、協同組合、共済組合等のほか旧中間法人法で定められた中間法人もこれに含まれる。
ただし平成20年に中間法人法が廃止され、従来の中間法人は一般社団法人に移行した。
中間法人には有限責任中間法人と無限責任中間法人の二種類があり、有限責任中間法人の社員は法人の債務について対外的な責任を持たない。
社員総会、理事、幹事などの機関を設けて運営を行うなどの特徴があり、無限責任中間法人は社員が法人と連帯して債権者に責任を負うこととなる。
中小PMI(スモールPMI)
一般的にPMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の一定期間内に行う経営統合作業をいう。
その他、M&A成立前の取組みを「プレPMI」、中長期的な取組みを「ポストPMI」という。
【PMIの段階】
①プレPMI:M&A成立前におけるPMIに関連する取組
②PMI:M&A成立後から一定期間(1年程度)におけるPMIの取組
③ポストPMI:上記②の後に継続するPMIの取組
なお、M&A成立後初日を起点に、経過日付ごとに、例えば1日目を「Day.1」、100日目を「Day.100」と称する。
超過収益力
期待収益を上回る収益のことをいう。その企業のポテンシャル。
一般には正常収益から期待収益を差し引いて計算される。
つなぎ資金(つなぎ融資)
資金の調達が確定しているが、その資金が必要な時期に間に合わないときに、一時的に借り入れる資金(融資)。
ディール・ブレイカー
重要な権利や許認可の不存在など、M&Aの検討を取りやめるほどの重要な項目を指す。
ディールブレイカーが存在する場合、検討は中断となるため、可能な限りDDの初期段階で確認することが必要とる。
ディール・メーカー
M&A案件における仕掛人や主人公など、いわゆる主要プレーヤーのこと。
交渉力や人脈、専門知識を活かして、大型取引・M&A・資本提携などの合意を成立させるキーパーソン。
ディスクレーマー
責任の否認や制限を表明する文言・注意書きのこと。
契約書、Webサイト、プレゼン資料、法律文書などでよく使われる。
日本語では「免責事項」や「注意書き」と訳されることが多く、法的トラブルを防ぐための予防線としての役割がある。
ティン・パラシュート
被買収企業が、買収後に従業員が解雇されることを想定し、通常より多額の退職金や一時金を出す規定を、雇用契約または労働協約で定めることで、買収者の買収コストを引き上げ、買収意欲を削ぐ買収防衛策。
手形貸付(テガシ)
約束手形を担保に借入をする方法。
手形未使用の企業は、貸付用手形を活用される。
手続きが簡単で、頻度高い短期借入(1年未満)向きと言える。
「ひも付き融資(ひも付き)」にも利用される。
デットファイナンス
銀行借入や社債発行などのように新株の増加を伴う可能性のない資金調達方法。
増資、新株予約権付社債、新株予約権の発行のように顕在的または潜在的に新株の増加を伴う資金調達方法は「エクイティファイナンス」という。
デュー・デリジェンス(DD)
デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲渡側における各種のリスク等を精査するため、主に譲受側がFAや士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い)。
調査項目は、M&A の規模や実施希望者の意向等により異なるが、一般的に、資産・負債等に関する財務調査(財務DD)や株式・契約内容等に関する法務調査(法務DD)、ビジネスモデル等に関するビジネス(事業)DDから構成される。
その他、税務DD(財務DD 等に一部含まれることがある)、人事労務DD(法務DD等に一部含まれることがある)、知的財産(知財)DD、環境DD、不動産DD、ITDD といった多様なDDが存在する。
デリバティブ
日本語で「金融派生商品」と訳される金融用語で、株式・為替・金利・債券などの「原資産」の価格に連動して価値が決まる金融商品のこと。
リスクヘッジ(保険)や投機などに使われる。
統合基本方針
企業同士が経営統合(合併・持株会社設立・事業統合など)を行う際に、その統合の目的や方向性、基本条件などをまとめた文書や合意事項のことを指す。
英語では「Basic Agreement for Integration」などと表現される。
当座貸越(トウガシ)
設定された限度額(極度額)までは、自由に資金を借りたり返したりできる融資形態。
銀行にとってリスクが高いため、財務内容の良い企業でなければ審査は通らない。
「つなぎ運転資金(つなぎ)」の発生頻度が高い業種(建設業、 IT業、製造業)で利用効果が高い。
当座比率
企業の短期的な支払い能力(流動負債に対する即時支払可能な資産の割合)を示す指標。
「今すぐ現金化できる資産だけで、借金をどれくらい返せるか?」を判断する。
【当座比率の算出式】
当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
投資事業有限責任組合
投資事業有限責任組合法に基づき,ベンチャー企業のような未公開企業への投資を専門的に行う組合型ファンドを創設・運用するために設立された組合。
無限責任組合員と有限責任組合員とから構成される。
「中小企業等投資事業有限責任組合」は、日本の法律に基づいて設立される投資ファンドの一形態で、特に中小企業への投資を目的とした組合。略して「LLP型投資事業組合」などとも呼ばれる。
特別決議
議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上を以って可決される決議をいう。
特別決議事項の代表的なものは下記の事項、定款変更、取締役・監査役の解任、会社の解散・合併、事業譲渡、資本の減少等がある。
特定調停
借金の返済が滞りつつある債務者の申立により、簡易裁判所が、その債務者(借主)と債権者(貸主)との話し合いを仲裁し、返済条件の軽減等の合意が成立するよう働きかけ、債務者が借金を整理して生活を立て直せるよう支援する制度。
匿名組合
出資者が組合員となり、事業者に資金を提供するという形態の組合であり、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束する契約形態。
土地保有特定会社
保有資産のほとんどが土地という資産構成が特殊な会社。
主に土地などの不動産を保有することを目的とした会社で、税制面で特別な扱いを受ける法人。日本の法人税法に規定されており、不動産売買に関する課税逃れを防ぐための制度に関連している。
通常、土地を売買すれば不動産取得税や登録免許税などがかかるが、「会社の株式ごと売却」すれば、実質的に土地を手放しても税負担が軽くなる可能性がある。
これを防ぐため、土地保有特定会社の株式を譲渡した場合は課税対象として扱われることがある(=みなし譲渡課税や相続税・贈与税評価の特例除外など)。
土地保有特定会社は、上場会社に比べて資産構成が著しく偏っており、どのような会社規模であっても純資産価額方式で評価されることになっている。
トップ面談
M&Aプロセスにおける譲受側・譲渡側の経営者同士が行う面談をいう。
譲受側・譲渡側双方の経営理念・企業文化や経営者の人間性等を直接確認するための場であり、その後の円滑な交渉のためにも重要な機会である。
な行
内部監査
会社内部の業務・組織・プロセスなどを独立した立場からチェックし、経営の健全性・効率性・法令順守を確保するための活動。
通常は「内部監査室」などの専門部署が担当する。
主な目的は、業務の適正性、効率性、リスク管理体制の確認であり、経営層(社長や取締役会など)、監査委員会に報告を行う。
ネームクリア
ノンネームで打診した譲渡対象となる企業名を買い手候補企業に開示すること。
年買法
企業評価における営業権の算定方法のひとつ。
収益還元法の一種で、ある年の収益(営業利益や純利益など)に「年買係数(年数)」を掛けて企業価値を簡易に算出する方法。
ノンオーガニックグロース
事業が内部資源にはない、あるいは育成に時間がかかりすぎる場合に、他の企業の買収や業務提携を活用して自社に取り込んだ結果として実現する企業の成長を指す。「M&Aグロース」とも呼ばれる。
ノンネームシート
M&A対象企業の概要を対象企業が特定されない程度に匿名でまとめたもの。
M&A業者が候補先への打診の際に使用する。
打診した候補先が関心を示したら秘密保持契約を締結後、より詳細情報を開示して買収についての検討を行う。
1次情報、1枚もの、ともいう。
は行
パーチェス法
企業が他社を買収・合併した際の会計処理方法の一つで、取得する側の時価で、取得された企業の資産・負債を再評価して会計処理する方法。
現在の日本基準および国際会計基準(IFRS)・米国基準(US GAAP)でも基本原則とされている合併・買収の会計処理方法。
バイアウト
ある会社の経営権(株式)や資産を、第三者がまとめて買い取ることを指す。
特に会社のオーナーが交代するような買収を指すことが多い。
買収ファンド
投資家から集めた資金で企業を買収し、企業価値を高めて転売するかもしくは上場させることによって利益を稼ぐ団体もしくは組合のこと。
日本でも買収ファンドがM&Aの買い手となるケースや、すでに転売または上場によって売却している例が増加してきている。
バイヤーズバリュー
M&Aの買い手にとっての買収価値のこと。
売り手にとっての企業価値 (セラーズバリュー) をバイヤーズバリューが上回っていなければ理論的にはM&Aは成立しない。
白馬の騎士
敵対的買収を仕掛けられた企業側に立つ有力な支援者のこと。アーサー王伝説に出てくる英雄が由来。
ホワイトナイトといえども多額の出費をするわけで、それ相応のリターンを求めていると考えるのが妥当であり、通常は何らかの意図がある。
したがって、純粋な意味でのホワイトナイトは存在しないと考えられる。
ハダカ
プロパーかつ担保を取らない融資。
パックマンディフェンス
敵対的な買収を仕掛けてきた相手に対してこちらからも逆買収をかけ、真っ向から勝敗を決めにかかるという対応策。
株の買い占め合戦のほか、資金調達合戦を繰り広げたり、まさに消耗戦、泥仕合になりかねない。当時アメリカでも流行ったパックマンゲームという日本発のTVゲームになぞらえた敵対的買収の対抗策。
話題にはなるが、これを実施する価値はないと言える。
ヒストリカル・ボラティリティ
「歴史的変動率」ともいい、過去のデータに基づいて算出されたボラティリティである。
ボラティリティとは、通貨や株価など対象になる資産がどれくらい変動する可能性があるかを示す指標であり、統計学の標準偏差で示される。
非適格合併
税務上の「適格要件」を満たさない合併のことを指し、合併時に課税が生じる合併のこと。
日本の税法では、一定の条件を満たす合併は「適格合併」として課税が繰延べられるが、要件を満たさない合併は「非適格合併」となり、税金が即時発生する。
適格合併の要件は「支配関係あり(50%以上)」「事業継続あり」「対価の90%以上が株式」であり、非適格合併はこれらいずれかを満たさない場合に適用される。
ひも付き融資
貸付金の使途を限定し、また返済資金などに条件をつけて行われる融資。
表明保証
主にM&A(企業買収)契約や投資契約などで使われる法律用語で、自社の財務、法務、税務などについて、正確であることを相手に明確に約束・保証すること。
M&Aの実務では、売り手が買い手に対し、最終契約書内で対象会社の事業状況、財務状況等につき、ある程度網羅的な表明保証を行うことが一般的。
例えば、売り手が以下のような内容を表明保証する。
・財務内容:最新の決算書は正確に作成されている
・訴訟関係:現在、係争中の訴訟は存在しない
・知的財産権:全ての特許は当社に帰属している
・税務関係:過去に重大な税務違反はない
表明保証条項
契約の一方当事者が、他方当事者に対し一定の時点(一般的には最終契約締結時・クロージング時の両時点)において、当該契約に関する事項について、当該事項が真実かつ正確であることを表明し、かつその内容を保証する条項をいう。
ファイナンシャルバイヤー
企業や事業を投資目的で買収する買い手のこと。
買収後に企業価値を高めて将来的に売却し、キャピタルゲイン(売却益)を得ることを主な目的としている。
事業収益よりも企業価値の向上後に株式売却等により高いリターン(利益)を上げることを目的としており、一般的に事業に関与しないファンドまたは個人が多い。
このフィナンシャルバイヤーに対して、自社の事業戦略上において必要な企業を買収する買い手のことを「ストラテジックバイヤー」という。
ファインディング
M&Aの相手を見つけること。
ファクタリング
売掛債権をファクタリング会社へ売却して資金調達。
売掛債権をファクタリング会社へ譲渡することを取引先に承諾 してもらう、あるいは通知する必要あり。
フィデューシャリー・デューティー
「受託者責任」と訳され、金融機関は資産を預かった顧客の利益を最重視すべき、と考える概念。
背景には、金融機関が手数料の高い新商品への乗り換えを勧めたり、コストの情報開示が不十分だったりすることがある。
フェアネスオピニオン
M&A取引を実行する際に、取引価格や合併比率等の評価額や評価結果に至る会社の経営判断を、独立して公平な立場にある第三者が様々な視点から調査し、その公正性について財務的見地から意見表明を行うこと。
物上保証
債務者ではない人が担保提供をすること。
物上保証人
会社の借入金の保証人になっていない人の名義の不動産に会社借入金の抵当権を設定した場合、その不動産の提供者のこと。
担保処分以上の責任は問われない。
物的分割
会社分割では、設立会社・承継会社は、承継した事業の対価に割り当てる株式を、A社の株主に割り当てるのか、A社自身に割り当てるのかを選択することができる。
前者の場合を人的分割(分割型分割)といい、後者の場合を物的分割(分社型分割)という。
不動産担保
土地、建物が対象の担保。
比較的価値が高く、評価が見積りやすく、売却して現金化しやすいため、債権者は保全が図りやすく、金融機関の融資の担保は不動産が中心。
路線価の検索方法:「路線価 市区町村」⇒国税庁の路線価図。
建物は、不動産鑑定士の評価に「掛け目」をかけて担保評価とする。
【土地評価(担保評価)見積の計算方法】
土地評価額=敷地面積(㎡)×路線価(千円/㎡)÷掛け目(0.8)
ブラックショールズモデル
理論上のオプション価格を算定する計算式のこと。
上場企業の株式が発行するオプションの評価に用いられる。ブラックショールズモデルの本質は、本源的価値に確率と時間の要素を加味したものである。
アメリカの経済学者フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが考案し、ロバート・マートンが1997年に完成させた。
ブランディング
「価値向上活動」と「価値浸透活動」のすべてを言う。
「ブランド・イメージ」と「ブランド・アイデンティティ」をイコールにする活動。
ブランド
顧客が企業や商品・サービスに対して思い浮かべる 「価値イメージ」のこと。
同レベルの機能のものを、ブランドによって何倍にも価値を高めることができる。
会社名、商品名、店舗名そのものがブランドではない。
ブランド・アイデンティティ
消費者に「こう思われたい」と思う価値イメージ。
自社の「価値イメージ」を言葉で表現したもので、「顧客にこう思われたい」を示したもの。
ブランド・イメージ
消費者が勝手に思うイメージ。
ブランド・エクイティ
ブランドが持っている資産価値のことで、以下の4つの要素から成る。
①ブランド認知
②知覚品質
③ブランドロイヤリティ
④ブランド連想
ブランド・プロミス
そのブランドが約束・保証している(と消費者が感じている)品質、機能、価値を守ること。
ブランド・マネジメント
ブランドを構築し、ブランド資産を維持・管理すること。
ブランドに関する責任者をブランド・マネージャーという。
ブランドロイヤリティ
顧客が持つ、ブランドへの忠誠の度合い。
「購入したい」等のコミットメントレベルの指標。
ブランド再生
ニーズが発生した際にブランドを思い起こすこと。
ブランド再認
ブランドの要素に接した際にブランドを思い出すこと。
ブランド体験
顧客がブランドと接するあらゆる機会(コンタクトポイント)のこと。
ブランド要素、広報、広告、HPなど、顧客との接点すべて。
ブランド認知
消費者に価値が正しく認識されているかを示す言葉。
ブランド要素
他の商品(サービスも含む)との差異を明確にするための要素。
(例)ブランドネーム、ロゴ、シンボル、キャラクター、スローガン・キャッチコピー、音楽、パッケージ
ブランド連想
ブランドが消費者の頭の中に呼び起こす連想。
「ブランド連想」が集まって「ブランドイメージ」が形成される。
不良債権比率
金融機関において、全ての貸出金・債務保証等の合計額のうち、不良債権の占める割合を指し、5%以内が適正。
プレPMI
M&A成立後に行う統合プロセスであるPMIの「前段階」で実施するもの。
プロキシーファイト
株主総会の開催前に、多数の株主から委任状 (Proxy) を根回ししてもらっておくこと。「委任状争奪戦」ともいう。
プロパー融資
信用保証協会の保証をつけず、金融機関が100%のリスクを取って貸し出すもの。
分科会
PMI(経営統合プロセス)を推進するために、テーマごとに専門チーム(=分科会)を設けること。
M&A後、全体統合を一括で行うのは現実的ではないため、部門別・機能別の「分科会」を設置し、各分野で並行して統合作業を進めるのが一般的。
ベアハッグ
株主にとって有利な条件提示であるため経営陣として承諾せざるを得ないような買収提案のこと。
ベータ値
株式市場が変化したとき、「任意の株式のリターンが何パーセント変化するか」を表すもので、株式市場全体に対する相対的なリスクを表す相関係数のことである。
ベータ値が大きいほどリターンの変動が激しいことを意味し、その株式のリスクが高いことを示す。
例えば、β値が1.5の場合、市場が10%上昇するとその銘柄は15%上昇することを意味する。
ベタ貸し
当座貸越で、極度額いっぱいまで張り付いた状態。
また、短期の運転資金、つなぎ資金で用いられる手形貸付。
ペルソナ
企業が商品・サービスを提供する際に想定する「最も典型的で具体的な顧客像」のこと。
単なる「ターゲット層(例:20代女性)」ではなく、名前・年齢・職業・ライフスタイル・価値観までリアルに設定する。
返済猶予(リスケジュール)(リスケ)
借入金の返済条件を変更してもらうこと。
特に、返済が困難になった企業や個人が、金融機関と話し合って返済期限や金額を見直すことを意味する。
ポイズンピル
企業が敵対的買収から自社を守るために導入する防衛策の一つで、直訳すると「毒薬条項」。
既存株主に対して、自社株式を割安で取得できる権利(新株予約権)を与える。
これにより敵対的買収がなされた場合、被買収企業側が他の既存株主に対し時価よりも安価な価格で新規株が発行され、買収者にとって買収のコストやリスクを意図的に高めることができ、買収を思いとどまらせることができる。
法的整理
裁判所の関与の下で法律に則って倒産・再生手続きが進められるもの。
・再生型:会社更生法・民事再生法
・清算型:破産・清算
放任型統合
PMIでの統合の形態の1つ。
被買収企業を子会社化するが、ほぼ関与しない方法。
その他、放任型統合・連邦型統合・支配型統合・吸収型統合がある。
簿外債務
貸借対照表には計上されていない債務のことをいう。
中小企業では税務会計で決算書が作成されているため、賞与引当金や退職給付引当金が簿外債務となっている場合が通常である。
ポストPMI
M&A成立後に行う統合プロセスであるPMIの「中長期フェーズ」を特に指す言葉。
保全
担保、保証人のことで、返済不能時でも債権を回収できるためのものや、土地や建物に設定する担保、連帯保証人、保証協会付きなどがある。
ボラティリティ
株価変動率のことで統計学の手法によって計算される標準偏差。
株価が上下に動き易い銘柄ほど高い数値で表される。
ストックオプションの価格算定をする際に使われる重要な変数のひとつで、ボラティリティが高い銘柄(株価の変動が激しい銘柄)はオプション評価額が高く、ボラティリティが低い銘柄(株価の変動が穏やかな銘柄)はオプション評価額が低く算定される。
ホワイトナイト
敵対的買収を仕掛けられた企業側に立つ有力な支援者のこと。アーサー王伝説に出てくる英雄が由来。「白馬の騎士」に同じ。
ホワイトナイトといえども多額の出費をするわけで、それ相応のリターンを求めていると考えるのが妥当であり、通常は何らかの意図がある。
したがって、純粋な意味でのホワイトナイトは存在しないと考えられる。
本源的価値
将来生み出すと予想される利益やキャッシュフローを現在価値に割り引いたもので、株式や企業、資産などが持つ内在的な「本来の価値」を意味する。
市場価格(株価など)とは異なり、将来の利益やキャッシュフローなどに基づいて計算された理論的価値を指す。
ま行
マーケットアプローチ
企業買収における主たる企業評価方式のひとつで、市場価格から推計、すなわち企業もしくは同業他社の株式市場や実取引における価格を利用して評価する。
マーケティング
「誰に(ターゲット顧客)」「何を(強み)」「どのように(手法)」を明確化にし、「売れるしくみ」を構築すること。
顧客のリピート化、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上が目的。
マンデート
委任状を意味し、M&Aの業界におていは、依頼主とM&Aアドバイザリー会社が締結するアドバイザリー契約のことを指す。
「マンデートを持っている」とは、依頼主と正式なアドバイザリー契約を締結していることを意味する。
みなし配当
会社法上の配当ではないものの、税務上は配当と同じ扱いで課税関係が生じるものをいう。
法人が株主への金銭等の交付を伴う減資、自己株買い、非適格合併などを実行した場合生じる。
民事再生
裁判所に申立を行い、裁判所の監督を受けながら会社再建を進める手続きのこと。
裁判所や、裁判所が選任した監督委員の監督のもと、現経営陣が会社に残って再建を進める。
再生計画案も、原則、現経営陣が中心となって作成する(⇒このような再建方法を「DIP型」という)。
民事再生における再生計画案の概要は、「債権者に債権の一部をカット(免除)してもらい、残りを最長10年間で弁済する計画」。
債権カットの割合が高くなるほど、弁済計画が長くなるほど、債権者の同意は得られにくくなる。
民法上の組合
複数人が出資をして共同の事業を営むことを約束する契約によって設立される団体。組合の出資は金銭の他、労務による提供でも可能。
社団法人に比較した場合、組合員相互が契約関係で結ばれるため、団体としての独立性が弱い。
無議決権株式
株主総会での議決権を持たない株式のこと。通常の株式(普通株)とは異なり、会社の経営方針や役員選任などの議決に投票できない代わりに、他の優遇措置が与えられるのが一般的。
株式持分比率に左右されず議決権比率を同一にしたい場合などに、持分比率の高い方の株式の一部を無議決権株式とすることがある。
これは、株式保有率により株主総会で優先的に議決権を保有した場合に、保有率の多い株主が経営を左右することなく、経営者が公正な株主の判断を得られることで自由で健全な経営を行うために必要な制度。
実際には銀行など資金提供率が多い株主に適用される場合が多く、またM&Aや会社売却を利用して利益を上げようとする、利益主義で経営を脅かす企業ブローカー対策としても利用されている。
無償割当
株主に対して、追加の株式などを無料で割り当てる制度。
企業の資金調達を伴わずに、株主の保有割合を維持したまま株式数などを増加させることができる。
大規模な増資など、新株と大量に発行する時に行われ、大量発行による株価下落を新株で補ってもらう。
名義株
実際の出資者(真の株主)とは別の人の名前で、名義上だけ株主として記載されている株式のこと。
つまり、名義はA氏だが、実質的な所有者・出資者はB氏、という状態を指す。
メインバンク
基本的に、貸出残高が最も大きい銀行。
民間企業からの融資が困難な状況下でも、企業をサポートする銀行。
メイン寄せ
メインバンクが、非メインの無担保部分の債権を引き取ること。
債権放棄等の金融支援の調整を行う際に用いられる。
メガディール
超大型のM&A案件のこと。
メザニン
優先あるいは通常借り入れとエクイティの中間 (中二階) という意味で、他の債権に比べ返済順位が劣る。
リスクが反映されるため、通常シニアローンよりも金利が高めに設定されている。
メザニンデットは弁済順位がシニアデット (通常借入) より劣後する借入れである一方で、金利は高い。
劣後ローンや、残余財産分配権が普通株より優先する優先株等もこれに当たる。
持株会社
一般に他社の株式を保有し、その会社を支配することを目的とした会社のことをいう。
独占禁止法では「子会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額)の合計額の当該会社の総資産の額に対する割合が100分の50を超える会社」を持株会社と定義している。
や行
役員選任権付株式
株式会社が発行する種類株式の一種で、特定の株主が、取締役や監査役などの役員を選任・解任できる権利を持つ株式のこと。会社法第108条に基づき、定款で明記すれば発行可能。
ただし委員会設置会社または公開会社は発行することができない。
有形固定資産回転率
企業が保有する有形固定資産(土地・建物・機械など)を、どれだけ効率的に売上につなげているかを示す指標。
資産を「どれだけうまく使って稼いでいるか」を表す。
【有形固定資産回転率の算出式】
有形固定資産回転率(回)=売上高÷有形固定資産
優先株式
普通株に比べ配当金などを優先的に受取れることから優先株式という。その代わりに株主総会での議決権がないことが多い。
有利発行
第三者割当増資又は新株予約権 (ストックオプション) の付与の際、社会通念上妥当と考えられる価格以下 (無償による付与を含む) で行われる場合、この行為を有利発行という。
妥当な価格との乖離幅10%が目安となる。
有利発行が行われると他の株主の持分は希薄化するため、特別決議が要件となる。
ら行
ライツプラン
敵対的買収に対抗する防衛策の一つで、新株予約権を活用した買収防衛策の仕組みのことをいう。
これは「ポイズンピル(毒薬条項)」の一種で、 買収者が一定の議決権割合を取得するなど、予め定めた条件を満たした場合に、敵対的買収を防ぐために、時価より安い価格で新株を購入できる権利(新株予約権)を既存株主に付与しておく手法。
一般にライツプランで新株が発行されると、敵対的買収を企図した投資家(株主)の持株比率が低下すると共に、株数の増加による株価低下が買収者に不利に働くことになるため、敵対的買収者の登場を予防(牽制)する効果が期待される。
現在日本においては、事前警告型ライツプランや信託型ライツプラン(直接型、SPC型)などの類型がある。
リースバック
自社の保有する資産をリース会社等に売却し、その後同一資産を借り受ける手法。
利益相反
会社が取締役の債務を連帯保証する場合や、取締役が自己又は第三者のために会社と取引をする場合など、取締役と会社との利害が相反する取引を「利益相反取引」という。
M&Aにおける利益相反とは、アドバイザー、経営陣、株主などの関係者が、公正中立であるべき立場でありながら、他の立場や個人的利益が影響してしまう状態を指す。
M&Aの場合においては、MBOの際にこの問題が典型的に表面化する。
具体的には、売り手企業の経営陣としては株主に対してより高く売却する機会を提供する義務を負っている一方で、買い手としての立場もあるため安く買収したいというインセンティブも働くため、本質的に利益相反を起こしている。
さらに経営陣は会社の内情を一般投資家よりも詳しく知りえる立場にあるため、情報格差がある。
このような背景があるため、MBOに当たっては取引の公正性の確保が何よりも重要である。
リスクフリーレート
「無リスク利子率」ともいい、理論的にリスクが皆無か極小の投資案件に対する期待利回りのことを言う。
リスクフリーレートには銀行預金や郵便貯金などの利回りがあるが、実務上では10年もの日本国債の利回りがよく用いられる。
一般的にリスクフリーレートにリスクプレミアムを加えたものを割引率として現在価値の算出に使用する。
リスクプレミアム
「期待収益率」ともいう。
リスクに応じて投資家が期待する無リスク利子率(リスクフリーレート)との差、つまりリスクに応じて要求される超過収益を指す。
一般的にリスクフリーレートにリスクプレミアムを加えたものを割引率として現在価値の算出に使用する。
リテイナーフィー
一定期間の継続的な業務に対して支払われる定額顧問料のことをいう。
M&Aでは、成功報酬とは別に、一定期間の調査や相手先訪問などの業務に対して月額固定金額が設定されるリテイナー契約を結ぶことがある。
単に着手金のみでリテイナーフィーと呼ぶこともある。
略式組織再編(略式合併)
会社法における合併・会社分割・株式交換・株式移転などの組織再編行為において、手続きを一部省略できる制度のこと。
親会社が子会社に対して再編を行う場合などに、株主総会の決議を省略できる特例制度で、会社法で認められている特定の支配関係がある場合に使われる。
流動性ディスカウント
株式や資産などがすぐに現金化できない(=流動性が低い)ために、評価額を割り引いて算定する考え方。
たとえば、非上場株式や不動産のように「すぐ売れない・売っても時間がかかる」資産は、たとえ本来の理論価値(本源的価値)が高くても、市場では低めに評価されることがあり、その差が流動性ディスカウントとなる。
流動性評価の対象として、売却に時間がかかる、売却価格が不確定(相場がない)、市場が存在しない(非上場)などがある。
流動比率
企業の短期的な支払い能力を表す指標で、流動資産が流動負債に対してどれだけあるかを示す。
「1年以内に現金化できる資産で、1年以内の借金をどれだけ返せるか?」を判断する指標。
【流動比率の算出式】
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
類似取引比準法
評価対象企業と事業の種類が同一または類似する複数の上場企業のM&Aの取引額から算出される利益倍率に比準してその取引の価額を算定する方法。
買収プレミアムが加味されることから類似会社比準法に比べて高くなることがある。
レート
支払金利のこと。
銀行の規模が小さいほど金利は高い。
長期借入は短期借入よりも金利は高い。
レーマン方式
一般的に使われているM&Aにおける成功報酬の体系であり、取引金額に応じて報酬料率が逓減する仕組みになっている。
連帯保証人
主たる債務者(お金を借りた人など)と同じ責任を負う保証人のこと。
催告の抗弁がなく(いきなり請求される)、検索の抗弁がない(すぐ責任を問われる)。
連邦型統合
PMIでの統合の形態の1つ。
被買収企業の自主性を維持する方法。一般的に代表取締役を変更せず、役員派遣なども若干名に留める。
その他、放任型統合・支配型統合・吸収型統合がある。
ローカルベンチマーク(ロカベン)
商流・業務フローや経営者、事業、環境・関係者、内部管理体制といった非財務情報から経営全般を見直し、これまで見えていなかった自社の魅力に気づき、さらに魅力を高めていくための課題と取り組みを整えることのできる企業の健康診断ツール。https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyoki nyu/locaben
ローントゥバリュー
ローントゥバリュー(Loan to Value、LTV) とは、借入金の安全度を測る指標のこと。
「借入比率」と呼ばれることもある。
なお、金融機関が融資する際、金融機関の安全性確保の見地から当該貸出の担保物件 (不動産や株式など) の価値を算定し、この担保価値に一定の率 (例えば預金は100%、優良上場企業の株式は80%~90%、不動産は80%まで等) を掛け、その額を上限に貸出する。
このパーセンテージを「担保掛目」といい、日本では古くから導入されているシステムである。
ロックアップ
株式市場やM&Aなどで使われる用語で、一定期間、株式を売却してはならないという契約・制限のこと。
主に株価の急落や混乱を防ぐための措置。
ロングリスト
M&Aを検討している対象会社の買い手候補先(または買収対象候補先)をリストアップしたもの。
M&Aによって相応のシナジーが想定される企業をリストアップしたものである。
これを一定条件等で絞り込んだものをショートリストという。
わ行
ワラント
将来の一定の期間内にあらかじめ定められた株価で新株を引き受けることができる権利のこと。
将来、株価が上がった場合にのみ権利行使すれば確実に利益が得られる。
株式公開前のベンチャー企業の創業者の出資比率維持やストックオプションで用いられることが多い。
M&Aでの利用法としては、業績不振企業を買収する際に、段階的に投資を行い、業績が回復すれば権利行使しして出資比率を上げ、業績が回復しない場合には権利放棄するなどの方法が考えられる。
割引率
将来の金銭を現在価値に割り引く(換算する)ときの割合を、1年あたりの割合で示したもの。
M&Aにおいては、DCF法(キャッシュフローに着目した長期の投資効果を測る収益計算法)による企業価値を計算する際に用いる。
企業価値の計算に用いる割引率には通常、加重平均資本コストと呼ばれるWACCを用いる。WACCは、株主資本コストと負債資本コストを加重平均して求める。

















