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PMIの体制構築

事業機能統合のプロセス

M&Aの価値を最大化する鍵は、事業統合によって「1+1」を2以上にするシナジー効果の創出にあります。
PMIの初期段階から、お客様の事業特性に合わせた最適なシナジー創出のプロセスを一貫してご支援します。

事業機能統合の進め方

M&A成立

100日プランのアイコンPMI(集中実施期):
100日プラン

M&A成立後の100日間は、PMIの成否を分ける最重要期間であり
100日プランとはPMIのための具体的な計画を指します。
シナジー最大化のロードマップを策定し、アクションプランから事業計画策定までご支援します。

  1. 01 ビジネスデューデリジェンス(DD)を実施

    まずはビジネスデューデリジェンス(DD)を実施し、事業の現状や課題、強みを正確に把握します。
    その分析結果に基づき、事業・管理の両機能にわたるシナジーを最大化するための、具体的な戦略・戦術をご提案します。

  2. 02 戦略・戦術、シナジーの
    方針決定

    • 譲渡企業の問題点の改善、強み活用の成長戦略

      ビジネスDDで明らかになった問題点を改善するための施策を策定します。
      同時に、譲渡企業が持つ強みを最大限に活かし、成長を加速させるための施策も具体化します。

    • 譲渡企業と譲受企業の統合・シナジー(事業機能)

      両社の事業活動(製造・販売等)を連携・改善することで、クロスセルや共同調達などを通じた売上・コストシナジーの実現を図ります。

    • 譲渡企業と譲受企業の統合・シナジー(管理機能)

      人事、会計、ITなどの管理部門における業務プロセスの連携や統廃合を進めます。
      これにより、重複業務の削減やシステムの共通化などを通じて、具体的なコストシナジーを生み出します。

  3. 03 各事業・機能の方針
    (ビジョン)明確化

    決定した全体戦略に基づき、各事業が目指すべき具体的な方針やビジョンを定めます。

  4. 04 各事業・機能の統合、
    体制の構築

    各事業の方針を実現するため、両社の機能をどのように統合し、誰がどのような役割と責任を担うのか、最適な組織体制を設計します。

  5. 05 アクションプラン作成

    策定した方針と新体制に基づき、「誰が」「いつまでに」「何を」実行するのか、具体的な行動計画(アクションプラン)へと落とし込みます。

  6. 06 事業計画(PL)策定

    作成したアクションプランを実行した場合に、どの程度の収益や費用が発生するのかを試算し、具体的な数値目標としての事業計画を策定します。

100日以降のアイコンPMI(集中実施期):
100日以降

100日プランで策定した計画を実行に移し、予実管理とPDCAサイクルでその進捗を管理することで、
シナジーの最大化を支援します。

  1. 07 統合、戦略・戦術、
    シナジーの実行

    100日プランで策定したアクションプランに基づき、各部門と連携しながら、統合やシナジー創出に向けた具体的な施策を現場で実行していきます。

  2. 08 予実管理、PDCA

    計画通りにシナジー効果が生まれているか、定期的に進捗をモニタリングします。
    予実管理を通じて課題を早期に発見し、PDCAサイクルを回すことで、継続的な軌道修正と改善を図ります。

事業統合で創出する
シナジー効果の全体像

事業統合によって創出されるシナジーは、大きく「売上シナジー」と「コストシナジー」に分けられます。
シナジー効果が発揮されることで、1+1が2を大きく上回る事業成長が期待できます。
お客様の事業内容やM&Aの目的に応じて、これらのシナジー効果を最大化するための具体的な施策をご提案します。

売上シナジー

  • 経営資源の相互活用

    1. 1クロスセル
    2. 2販売チャネルの拡大
  • 経営資源の組み合わせ

    1. 3製品・サービスの高付加価値化
    2. 4新製品・サービスの開発

コストシナジー

売上原価

  • 改善

    1. 5生産現場の改善
    2. 6サプライヤーの見直し
    3. 7在庫管理方法の見直し
  • 共通化・統廃合

    1. 8共同調達
    2. 9生産体制の見直し

販管費

  • 改善

    1. 10広告宣伝・販促活動の見直し
    2. 11間接業務の見直し
  • 共通化・統廃合

    1. 12共同配送
    2. 13管理機能の集約
    3. 14販売拠点の統廃合

売上シナジー

両社が持つ販路や顧客基盤、ブランドといった経営資源を組み合わせ、新たな収益機会を創出します。

経営資源の相互活用

  1. 01 クロスセル

    自社の既存顧客に対し、M&Aで獲得した関連製品・サービスを併せて提案し、追加的な売上を獲得する活動です。

    特に有効なケース

    両社の顧客ニーズの類似性が高い場合や、製品・サービスが相互に補完的な関係にある場合に特に有効です。

    対応方法
    クロスセルの対応方法の図解

    譲受側から譲渡側の顧客へ、あるいはその逆方向で、互いの製品・サービスを追加販売します。

    期待できる効果

    既存顧客に対する販売数量を増加させることで、顧客あたりの売上高を増加させる効果が得られます。

    留意点

    クロスセルは、両社にとって重要な既存顧客との信頼関係が基盤となります。闇雲な提案で顧客の信用を損なわないよう、追加販売する製品・サービスが顧客にとって本当に価値あるものか、慎重に見極めることが重要です。

    また、営業担当者がM&A相手企業の製品を積極的に提案するには、その製品に関する十分な知識と理解が不可欠です。知識不足による不適切な提案を防ぎ、効果的なクロスセルを実現するため、以下のような取り組みを併せて実施することをおすすめします。

    • 勉強会の実施

      製品・サービスに関する商品知識や提案方法について、理解を深めるための勉強会を設定します。

    • 同行営業の実施

      営業担当や技術者による同行営業などを通じて、お互いの製品・サービスへの実践的な理解を深めます。

    • 評価制度の工夫

      クロスセルに対するインセンティブを導入するなど、営業担当者のモチベーションを高めるための目標設定や業績評価の工夫を行います。

  2. 02 販売チャネルの拡大

    主に同業種による水平統合で両社の既存顧客が重複しない場合に、それぞれの販売チャネルや営業エリアを活用して相互に製品・サービスを販売し、新たなチャネルの開拓、新規顧客の獲得、営業エリア拡大を実現する活動です。

    特に有効なケース

    両社の顧客層が異なる場合や、営業エリアが地理的に重複しない場合に有効です。

    対応方法
    販売チャネルの拡大の対応方法の図解

    相互に顧客を紹介して単独で営業する場合と、同行営業を実施する場合があります。

    期待できる効果
    • 譲受側・譲渡側が同業種の場合
      • 両社の販売チャネルを相互に活用することで、新規顧客の開拓や、営業エリアの拡大を実現できます。これまでアプローチできていなかった顧客層へも、少ない営業リソースで効率的にリーチすることが可能になります。
    • 譲受側・譲渡側が異業種の場合
      • これまで接点のなかった新たな市場へアクセスできる販売チャネルを獲得できます。
      • これまでとは異なる顧客ニーズに触れることで、自社製品の改良や、新たなサービス開発のきっかけにも繋がります。
    留意点
    • 営業担当間の情報連携の徹底

      相互に顧客を紹介し合う際は、これまでの関係性や提案内容といった情報を担当者同士で共有し、お客様に不信感を与えないよう連携を徹底します。

    • 顧客からの事前承諾の取得

      顧客情報を両社で共有したり、相手側の企業から直接アプローチしたりする際には、必ず顧客から事前の承諾を得ることが重要です。
      特に、一般消費者の個人データを扱う場合は、個人情報保護法に抵触することがないよう万全を期します。

経営資源の組合せ

  1. 03 製品・サービスの高付加価値化

    M&Aで獲得した技術やノウハウを活用し、既存製品・サービスの付加価値を高めることで、提案力や収益性の向上を実現する活動です。

    特に有効なケース

    両社の製品・サービスが相互に補完的な関係にある場合に特に有効です。両者を組み合わせることで、お客様にとっての利便性や付加価値を大きく高めることができます。

    対応方法
    経営資源の相互活用の図解

    相手企業の技術で既存製品に機能を追加したり(製品価値の向上)、製品とアフターサービスを組み合わせたり(提案価値の向上)といった、様々な形が考えられます。

    期待できる効果

    製品・サービスを組み合わせることで付加価値が高まり、受注の拡大や売上増加が期待できます。

    留意点

    まず両社の製品・サービスに関する十分な知識と理解が不可欠です。さらに、既存の製品・サービスだけでは満たされていない顧客のニーズがどこにあるのかを、正確に把握しておく必要があります。

    両社の製品をどう組み合わせれば顧客の課題を解決できるのか、その価値を伝えるための具体的な営業手法も併せて検討することが重要です。

  2. 04 新製品・サービスの開発

    両社の経営資源や組織能力を活用して新製品・サービスを企画・開発し、既存顧客の新たなニーズ掘り起こしや、新規顧客の開拓といった成果を目指す活動です。

    特に有効なケース

    既存顧客の中に、自社の既存サービスだけでは満たせない「潜在的なニーズ」があると見込まれる場合に特に有効です。

    シナジー実現のための前提
    • そもそも、その新製品・サービスを求める顧客のニーズが明確に存在していること
    • そのニーズが、一定以上の市場規模(需要)が見込めること
    • 両社の経営資源や技術力を組み合わせることで、そのニーズに応える製品・サービスを実際に開発できる可能性があること
    期待できる効果

    既存顧客の新たな需要を開拓することで取引の拡大につながります。さらに、従来の製品・サービスとは異なる収益構造を確立し、新たな売上の獲得が期待できます。

    留意点

    まず、両社の営業・技術部門の担当者間で、自由闊達な意見交換ができる環境を整備し、緊密なコミュニケーションと相互理解を促すことが前提となります。

    その対話を通じて、既存顧客のニーズを深く洞察し、両社が持つ経営資源(技術、人材等)の強みを明確に洗い出すことが求められます。

コストシナジー

重複する管理部門や生産・物流拠点を統廃合し、事業運営の効率化とコスト構造の改善を図ります。

【売上原価】改善

  1. 05 生産現場の改善

    譲渡側の生産現場における5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を改善し、ミスの撲滅と作業効率の向上を通じて、生産性の向上を実現する活動です。

    対応方法

    多くの中小企業の生産現場には、改善の余地が多く残されています。特に「7つのムダ」と呼ばれる以下の観点から生産現場の状況を詳細に確認し、改善していきます。

    • 1作りすぎのムダ

      必要量以上に生産したり、過剰な人員や設備を配置したりしていないか。

    • 2手待ちのムダ

      欠品待ち、部品待ち、作業待ちなど、非効率な手待ち時間が発生していないか。

    • 3運搬のムダ

      非効率な工場レイアウトや在庫配置によって、無駄な運搬・移動が発生していないか。

    • 4工程のムダ

      製品の出来栄えに直接寄与しない、不要な加工や作業が発生していないか。

    • 5在庫のムダ

      非効率な在庫保管スペースの使い方や滞留在庫によって、無駄な保管・運搬・管理コストが発生していないか。

    • 6作業のムダ

      作業場所の非効率などにより、人の歩行や作業に無駄な動きが多く発生していないか。

    • 7不良品のムダ

      不良品の発生による廃棄や、手直しに伴う材料・工数の無駄が発生していないか。

    期待できる効果

    現場レベルで早期に着手可能な改善活動が中心となるため、M&Aの成果を比較的早期に期待できます。

    • QCDの向上

      現場のミスや無駄をなくすことで、QCD(品質・コスト・納期)が直接的に改善されます。

    • 組織風土の醸成

      改善活動を習慣化することで従業員の意識が高まり、QCDに対する意識向上等、従業員が自律的に改善を実施する組織風土を醸成することができます。

    留意点
    • 情報の可視化と迅速な判断

      多くの中小企業の生産現場では、作業時間や設備の稼働状況といった情報が可視化されておらず、問題点をタイムリーに把握するのが難しいケースが少なくありません。そのため、まず生産現場の「情報の可視化」を行うことが極めて重要です。

      必要なデータを適時取得できるよう、生産管理システムなどのITシステムを整備することが、現場改善の成功の鍵となります。生産現場で起きている不具合やトラブルをタイムリーに把握し、すぐに対応・改善するというサイクルを習慣化させることで、生産を止めるべきか、どう対応すべきかといった判断を速やかに行うことが可能になります。

    • 5Sに対する意識改革

      5Sを単なる整理整頓ではなく、「利益に直結する重要な改善活動」として全社で位置づける意識改革が不可欠です。
      この活動を継続的に実施し、組織に定着させることで従業員のモチベーションを向上させ、従業員が自ら主体的に改善に取り組む組織風土の醸成を目指します。

  2. 06 サプライヤーの見直し

    既存のサプライヤーの中から、自社にとって不利な取引条件となっている先を特定し、改善に向けた交渉を行う活動です。
    また、サプライチェーン全体の安定化と、調達におけるQCD(品質・コスト・納期)の改善を実現する活動でもあります。

    特に有効なケース

    特に、譲渡側において取引量が増加しているにも関わらず、長年契約条件が見直されていないサプライヤーがいる場合に有効です。このようなケースでは、M&Aを好機として、有利な条件での再交渉を進められる可能性があります。

    対応方法

    具体的なアプローチとしては、主に以下の3つの方法が考えられます。

    • 既存サプライヤーとの条件改善

      譲渡側の既存サプライヤーに対し、取引条件の改善を交渉します。

    • 優良サプライヤーの紹介

      譲受側が取引のある優良サプライヤーを、譲渡側に紹介・活用します。

    • 共同での新規開拓

      両社が共同で、より条件の良い新たなサプライヤーを開拓します。

    期待できる効果

    部品や原材料といった直接材のコストは、販売量に比例して増減します。そのため、仕入単価を1円でも引き下げられれば、その削減効果は販売量が増えるほど大きくなります。

    留意点
    • サプライヤーとの良好な関係維持

      安定的な調達の基盤は、サプライヤーとの良好な関係です。そのため、M&A成立直後に性急な条件交渉を行うことは、関係を損なうリスクがあり、時期尚早な場合も少なくありません。

      また、昨今は原材料の価格高騰や災害等による供給停止といったリスクも増大しています。こうした不測の事態に備え、自社の事業を安定的に運営するためにも、サプライヤーとの関係を維持・拡大していく視点が重要です。

    • サプライヤー情報の可視化と管理

      多くの中小企業では、サプライヤーの技術力や取引条件といった重要な情報が、可視化・管理されていないケースが見受けられます。

      特に重要な調達品目については、サプライヤー情報を一元管理できるツールやITシステムを導入し、適切な管理体制を構築することを検討すべきです。

  3. 07 在庫管理方法の見直し

    譲渡側が保有する在庫(原材料、商品等)を、生産・販売活動に合わせて最適化し、必要な時に、必要な場所へ、必要な量だけを供給できる管理体制を構築する活動です。

    特に有効なケース

    譲渡側において、定期的な実地棚卸が行われていない、あるいは帳簿と実際の在庫数にズレが生じているといった課題がある場合に、管理方法の見直しは特に有効です。

    対応方法

    在庫管理の見直しは、主に以下の3つの観点から進めることが重要です。

    • 1在庫の定義を明確にする

      在庫の定義は会社によって異なり、特に会計部門と生産・調達部門で認識が違うことも少なくありません。まずは譲渡側における在庫の定義を正確に確認し、関係者間の認識を統一します。

    • 2帳簿と現品を一致させる

      多くの中小企業では、期中の実地棚卸が徹底されておらず、帳簿と現物に差異が発生しがちです。この差異をなくすため、月次での実地棚卸を習慣化し、帳簿と現物を一致させる体制を構築することが重要です。

    • 3現品管理を徹底する

      在庫の保管場所を定期的に確認し、現品の破損や紛失等が発生していないかを把握します。また、保管効率や安全性の観点からも保管方法を常に見直し、継続的な改善を行います。

    期待できる効果

    在庫は、生産や商品仕入活動等で支出した現預金が形を変えたものと言えます。そのため、過剰在庫や滞留在庫をなくして適切に管理することは、資金繰りの改善に繋がります。

    留意点
    • 過剰在庫・滞留在庫の早期発見

      事業のサイクルに比べて在庫回転期間が長くなっている場合、それは過剰在庫や滞留在庫が発生している危険信号です。
      定期的に在庫回転期間をモニタリングし、問題を早期に発見できる体制を整えることが重要です。

    • 情報収集の仕組みづくり

      多くの中小企業では、在庫に関する情報が可視化されていないことが、問題発見を遅らせる原因となっています。まずは現物確認と並行して、表計算ソフトなどを活用し、在庫情報を収集・管理する仕組みを導入することが第一歩です。
      さらに管理精度を高めるためには、製造や購買、会計といった情報と連動した本格的な在庫管理システムの導入が推奨されます。

【売上原価】共通化・統廃合

  1. 08 共同調達

    両社がそれぞれ仕入れている共通の品目を共同で調達し、ボリュームディスカウントなどを通じて価格交渉力を高め、調達単価の引き下げを実現する活動です。

    特に有効なケース

    共同調達は、製品の製造に直接関わる「直接材」と、それ以外の「間接材」で有効なケースが異なります。

    • 直接材の場合

      両社が提供する製品・商品の共通性が高い、水平統合のようなケースで特に有効です。

    • 間接材の場合

      業種や事業内容にかかわらず共通する品目が多く、仕様の制約も少ないため、調達先の集約がしやすく、高い効果が期待できます。

    • 直接材

      原材料(製造業など)
      部品(建設業など)
      商品(卸業、小売業など)

    • 間接材

      製造副資材(製造業など)
      施設関連費
      物流費

    対応方法

    共同調達を円滑に進めるためには、事前にルールや仕組みを整備することが不可欠です。

    • 1発注窓口の一本化

      両社の発注担当や窓口を一本化し、交渉力を集中させます。

    • 2権限とプロセスの明確化

      発注に関する権限や、社内の承認プロセスを明確に定めます。

    • 3管理システムの導入

      仕入・購買状況を可視化し、一元管理するための仕組み(ツールやITシステム)を導入します。

    期待できる効果

    共同調達の効果は、直接材と間接材で利益への貢献の仕方が異なります。

    • 直接材の場合

      仕入単価の削減効果は、販売量や生産量が増えるほど大きくなります。

    • 間接材の場合

      一般的に固定費であるため、削減できた金額がそのまま営業利益の改善額に繋がります。

    留意点
    • 部品・材料の共通化による規模の確保

      中小企業の場合、単に調達先を集約するだけでは、価格交渉に必要な規模に達しないことがあります。部品や材料の設計・仕様を共通化して品目数を減らし、発注量を大きくする工夫が有効です。

    • 重要品目の調達先変更におけるリスク管理

      製品の品質に大きな影響を与える直接材について調達先を変更する場合は、品質・コスト・納期(QCD)への影響や、安定調達が可能かどうかを慎重に考慮する必要があります。

    • ITシステムによる発注実績の管理

      発注実績は定期的にモニタリングができるようにしておく必要があります。
      特に管理が疎かになりがちな間接材については、発注実績を定期的に監視するためのツールやITシステムを導入することが望ましいです。

  2. 09 生産体制の見直し

    生産体制の見直しにより、生産能力の強化と製造コストの低減を両立させ、生産性を向上させるための活動です。これには、主に「生産設備の見直し」「生産拠点の統廃合」2つのアプローチがあります。

    特に有効なケース

    生産体制の見直しは、特に以下のようなケースで高い効果を発揮します。

    • 譲渡側の生産設備が原因で、不良品や生産の遅延、生産能力の制約といった問題が発生している場合
    • 両社が、同じ生産工程で製造できる共通の製品を手掛けている場合
    • 生産拠点を集約することで、拠点間の輸送(横持ち配送)などの無駄を削減できる場合
    シナジー実現のための前提

    生産体制の統合を円滑に進めるためには、事前の準備が不可欠です。

    • 生産管理・工程管理の統一

      まず、両社の生産管理や工程管理のルール・仕組みを、事前に統一しておくことが前提となります。

    • 作業レベルの標準化

      同じ工程であっても、両社で作業内容が異なると現場の混乱を招きます。必要に応じて、作業手順などを標準化しておくことが求められます。

    対応方法

    「生産設備の見直し」「生産拠点の統廃合」2つの方法があります。

    • 生産設備の見直し

      譲渡側の生産ラインの設備状況に応じ、機能の維持・改善・強化、あるいは廃棄といった最適な対応を実施します。併せて、両社で重複している生産工程や設備を合理化することで、生産性の改善と製造コストの削減を目指します。

    • 生産拠点の統廃合

      両社の生産拠点を集約することで、施設の賃料や光熱費、メンテナンス費といった固定費(売上原価)の削減を図ります。また、生産機能の集約に合わせて工場を拡張するなど、生産能力の増強を目的として実施されることもあります。

    期待できる効果

    両社一体で生産体制を見直しにより、主に以下の3つの効果が期待できます。

    • 生産拠点や設備にかかる投資・コストを適正化する
    • 生産機能の維持、および強化を実現する
    • 安定的かつ生産性の高い生産体制を構築する
    留意点
    • 生産状況の可視化と設備評価

      譲渡側の生産体制に関する情報は、定量的に可視化されていないケースが少なくありません。誰が・何を・どう作っているか、また各設備の生産能力や稼働率などを正確に把握するため、生産管理システム等のツールやITシステムを整備することが重要です。
      また、譲渡企業は資金的な制約から、設備への修繕や更新投資が不十分な場合があります。設備の現状と、今後必要となる投資額については、現物確認やヒアリングを通じて事前に把握しておく必要があります。

    • 拠点廃止に伴う契約・法務上の確認

      生産拠点を廃止する際は、法務・契約面の確認が不可欠です。拠点が賃貸物件の場合、解約時期によっては違約金が発生する可能性があるため、契約内容を事前に確認します(DDでの確認が理想です)。また、事業内容(化学工場、クリーニング工場など)によっては土壌汚染対策が必要になるケースもあり、事前の調査が求められます。

    • 関係者への周知と各種認証の確認

      拠点の移転・統廃合に伴い、仕入先や外注先といった関係者への周知、およびウェブサイト等の公開情報の更新を漏れなく実施する必要があります。また、最終メーカーからサプライチェーンの認証を受けている場合、拠点の変更によって再認証が必要になる可能性もあるため注意が必要です。

    • 従業員への配慮と合意形成

      生産拠点の統廃合は、従業員の勤務地の変更など、労働条件が不利になる可能性を伴います。トラブルを避けるため、対象となる従業員への事前の丁寧な説明と、理解を得るための対話、そして最終的な合意形成が極めて重要となります。

【販管費】改善

  1. 10 広告宣伝・販促活動の見直し

    譲渡側が実施している広告宣伝・販促活動を一つひとつ見直し、その目的と費用対効果を検証することで、全体の費用を適切な水準へと最適化する活動です。

    特に有効なケース

    広告宣伝・販促活動の見直しは、特に以下のような課題を抱えている場合に高い効果が期待できます。

    • 売上高に占める広告宣伝費の比率が、同業他社と比べて明らかに高い場合。
    • 毎年の予算が固定化され、売上高の増減と連動した柔軟な見直しが行われていない場合。
    対応方法

    まず、企業のブランディングを目的とする「広告宣伝」と、直接的な販売増を目指す「販売促進」に活動を分類して、個々の活動について目的、想定効果、発注先、コストなどの情報をすべて可視化します。

    可視化された情報に基づき、一つひとつの活動の費用対効果を厳密に検証し、「継続」「廃止」「見直し」の判断を下します。

    • 広告宣伝

      パンフレット・カタログ
      ホームページ
      看板・ポスター
      新聞・TVなどのマス広告 など

    • 販売促進

      商品サンプル
      景品・ノベルティグッズ
      キャンペーン
      展示会・見本市 など

    期待できる効果

    目的と効果の観点から活動を見直すことで予算総額を抑制し、コスト削減を実現します。

    留意点
    • 管理状況のチェックポイント

      多くの中小企業では、広告宣伝・販促活動が適切に管理されていないケースが見られます。まずは、以下の観点から譲渡側の管理状況を確認することが重要です。

      • 各活動の実施を判断する基準や、発注の権限は明確になっているか。
      • 特定の業者に発注が固定化されず、相見積もりなどが適切に行われているか。
      • 見積もりが「一式」表示などで、活動内容が不透明になっていないか。
      • 活動の実施後に、効果測定などの振り返りが実施されているか。
    • 規律を保つ仕組みづくり

      広告宣伝・販促費は、経営者の目が届きにくく、放置すると増加しがちなコストです。そのため、発注権限の明確化や発注書の導入、相見積もりの必須化といったルールを定め、継続的に規律を保つ仕組みを構築することが不可欠です。

  2. 11 間接業務の見直し

    譲渡側の間接業務の内容を見直し、業務品質の向上やミスの削減といった「質的改善」と、業務効率化や時間短縮といった「量的改善」の両方を実現する活動です。

    特に有効なケース

    間接業務の見直しは、特に社内に以下のような非効率が発生している場合に高い効果を発揮します。

    • 複数の部門や担当者が、同じような作業を重複して行っている。
    • 作成の目的が曖昧になっているような報告資料が慣習的に作られ続けている。
    • 各部門から提出される報告資料のフォーマットがバラバラで、集計や分析に多大な手間がかかっている。
    対応方法

    間接業務の改善は、以下の2つのステップで進めることが基本となります。

    • 1業務の可視化(棚卸し)

      まず前提として、現在どのような間接業務が行われているかを可視化する必要があります。担当者へのヒアリングなどを通じて業務の棚卸を行い、業務ごとの担当者、発生頻度、所要時間などを正確に把握します。

    • 2改善方針の検討(ECRS)

      業務を可視化する中で、特に無駄や非効率が発生している業務を特定します。その上で、ECRS(下図)と呼ばれる「排除」「統合」「入替・代替」「簡素化」の4つの観点から改善の方向性を検討し、業務の効率化を図ります。

    間接業務の見直しの対応方法の図解 間接業務の見直しの対応方法の図解
    期待できる効果

    直接的な業務改善効果と、PMIプロセスを円滑に進める効果の2つが期待できます。

    • 業務の効率化と品質向上

      間接業務における無駄や非効率を解消することで、従業員の残業時間短縮や、業務品質そのものの向上といった直接的な効果が期待できます。

    • PMIプロセス円滑化への貢献

      PMIの期間中は、譲渡側従業員に報告業務の増加など、通常業務に加えて大きな負荷がかかります。間接業務の見直しによって普段の業務負担を軽減することは、この追加負荷を吸収し、PMIを円滑に進める上で大きな助けとなります。
      また、従業員が日頃から課題だと感じている業務を早期に改善することは、PMIへの協力や信頼を得る上で非常に重要です。

    留意点
    • 業務見直しの基本ステップ

      多くの中小企業では業務が属人化しており、誰が・何を・どのように行っているかの実態把握が困難です。そのため、業務の見直しは一般的に以下の4つの手順で進めます。

      • 1業務の実態把握

        業務の棚卸や担当者への調査を通じて、業務の実態を可視化します。

      • 2改善対象業務の特定

        可視化された情報の中から、特に非効率な業務や、改善効果の大きい業務を特定します。

      • 3改善案の作成

        特定した業務について、具体的な改善案を作成します。

      • 4改善案の実施・検証

        改善案を実行し、その効果を検証(PDCA)します。

    • ITシステム活用のポイント

      標準化が可能な定型業務については、ITシステムを活用することで、さらなる業務効率の改善が期待できます。
      ただし、その際は自社の業務をシステムに合わせる形で標準化・見直しを行うことが、導入を成功させるための重要なポイントです。

【販管費】共通化・統廃合

  1. 12 共同配送

    両社が同一・近接エリアに配送している荷物を集約し、物流事業者を共通化することで、荷物1個あたりの物流費削減を実現する活動です。

    特に有効なケース

    主に水平統合において、両社の配送先エリアが重複していたり、地理的に近接していたりする場合に、特に高い効果が期待できます。

    対応方法

    配送量の増加を交渉材料として、物流事業者との契約見直しを図ります。特に、料金がタリフ(従量制)契約の場合は、荷物を集約することで運賃の引き下げ交渉がしやすくなります。

    期待できる効果

    物流費は、荷物量に連動する変動費です。そのため、共同配送によって荷物量が増加すれば、その分だけ利益への改善効果が大きくなります。
    特に、売上高に占める物流費の比率が高い製造業や小売業では、この改善効果はより大きくなる傾向があります。

    留意点

    物流事業者との交渉を有利に進めるためには、譲渡側の配送先や時間制約といった詳細な情報を、事前に正確に把握しておくことが不可欠です。

  2. 13 管理機能の集約

    譲渡側の管理機能(経理、人事など)を譲受側に集約し、グループ全体の生産性向上を図る活動です。譲渡側に不足している管理機能を譲受側が補完することで、譲渡側の事業運営を安定させるという支援的な側面も持ち合わせています。

    特に有効なケース

    この取り組みは、両社で重複している定型業務を集約する場合や、人員不足などが原因で譲渡側が単独では遂行困難な業務を譲受側が引き継ぐ、といったケースで特に有効です。

    シナジー実現のための前提

    管理機能の集約を成功させるには、事前の調査と慎重な判断が不可欠です。

    • 1譲渡側業務の現状把握

      まず、譲渡側の業務について、目的や内容、プロセス、使用ツールといった基本的な情報を正確に把握することが前提です。

    • 2影響範囲の慎重な検討

      その上で、業務を譲受側に集約した場合の双方への影響(業務負荷の変動など)を十分に考慮し、実施可否を判断する必要があります。

    期待できる効果

    管理機能を集約することで、グループ全体で以下のような効果が期待できます。

    • 業務負荷の軽減と平準化
    • 譲受側の高い業務水準に合わせることによる、業務品質の向上
    • 譲渡側が外部委託していた業務を内製化することによる、コスト削減
    留意点
    • 従業員への配慮と合意形成

      管理機能の集約が、従業員の勤務地変更など不利な労働条件に繋がる場合があります。トラブルを避けるため、対象者への事前の丁寧な説明と合意形成が極めて重要です。

    • さらなる効率化の検討

      業務の集約を機に、ITツール活用による定型業務の自動化や、一部業務のアウトソーシング(外部委託)を検討することも有効な手段です。

  3. 14 販売拠点の統廃合

    同一エリア内における営業体制の重複といった非効率を解消し、営業活動の効率化と、家賃などの拠点関連費用の削減を実現する活動です。

    特に有効なケース

    同一・近接エリアに両社の営業・販売拠点が混在し、営業活動に重複が生じていたり、拠点間で営業事務などの人員が不足していたり、業務負荷に大きな偏りが生じていたりする場合に有効です。

    シナジー実現のための前提
    シナジー実現のための前提の図解

    対応方法としては、主に図で示される2つのパターンがあります。
    1つは、いずれかの既存拠点に機能を集約する方法。もう1つは、両社の既存拠点を廃止し、新たな販売拠点に集約する方法です。

    期待できる効果

    販売拠点の統廃合により、主に以下の3つの効果が期待できます。

    • 廃止した拠点の賃料や光熱費、メンテナンス費といった固定費を削減できます。
    • 営業事務などの間接人員を集約することで、業務負荷の平準化や残業時間の削減に繋がります。
    • 拠点廃止によって生まれた余剰人員を、リソースが不足している他の拠点や部門へ再配置し、営業効率の改善を図ります。
    留意点
    • 契約内容の事前確認

      拠点が賃貸物件の場合、解約のタイミングによっては違約金が発生する可能性があります。トラブルを避けるため、賃貸借契約の内容を事前(ビジネスDDの段階)に確認しておくことが重要です。

    • 関係者への周知徹底

      販売拠点の移転・統廃合が決定したら、顧客をはじめとする関係者への丁寧な周知と、ウェブサイトなど公開情報の更新を漏れなく実施する必要があります。

    • 従業員への配慮と合意形成

      拠点統廃合は、従業員の勤務地の変更など、労働条件が不利になる可能性を伴います。対象となる従業員への事前の丁寧な説明と、理解を得るための対話、そして最終的な合意形成が極めて重要となります。

    • 営業体制の再設計

      拠点を集約した結果、営業担当者の移動距離が長くなり、訪問件数の減少や経費の増加といった新たな非効率が生まれることがあります。
      統合後の顧客分布や移動距離を考慮し、必要に応じて営業担当エリアの割り振りを見直すといった、営業体制の再設計も併せて検討すべきです。

書籍を多数出版し、これまでに300名以上の参加者を誇る「経営コンサルタント養成塾」を開催してきた
経営コンサルタントと、PMI専門の弁護士や会計士がチームで担当いたします。
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